商品循環 第20回 1920年の株価を推定し、商品価格と比較する

【直近の履歴】
第19回 商品と株式の価格変化率の長期比較
第18回 PPIベースの商品循環の周期を計算する
第17回 商品循環のボトムをPPIから検出する

今回は、前回、調べられなかった1920年のダウ平均を、いくつかのデータソースから推測して、商品循環と株価の関係を分析してみます。

1.Yahoo Finance

前回、株式の価格データとして、米国のYahoo Financeから、ダウ平均の日次Close価格を取得しました。
Dow Jones Industrial Average

しかし、このサイトで得られる最も古いデータが、1928年10月1日でした。

2.ニューヨーク証券取引所(NYSE)

NYSEは、1900年から現在までのダウ平均を、いくつかサイトに乗せています。
NYSE

これによると、1920年は、1月2日と12月31日の値が表示されていました。
1月2日・・・108.76
12月31日・・・71.95

3.WikiPedia

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WikiPedia で、ダウ平均について調べると、上のチャートが載っていました。
これは、1890年代から2010年代までのダウ平均の推移です。
見やすいように、対数グラフになっています。
WikiPedia

このグラフから、1920年の値を読み取ると、1920年初の100前後から下落トレンドを示しており、NYSEのサイトの値とほぼ一致します。

4.Stock Chart

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上は、普段、私が良く使っているStock Chart に載っていた1920年から1940年のダウの日次チャートです。
Stock Chart
これを見ると、1920年の1Qの付近では、100を超えていて、その後、急落して、年末にかけて、70程度まで落ちています。
これも、NYSEやWikiPediaと一致します。

5.ブログ(Ducati

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上のチャートは、Ducati998というブログに載っていたもので、1920年代のダウ平均の推移です。
このチャートの値も、NYSE、WikiPedia、StockChartとほぼ一致しています。

ここから読み取れるのは、1920年4月の値は、1月とほぼ同じあり、1920年の平均は、1月と12月の中間値とほぼ同じであることです。

従って、以下のように推定します。
1920年4月・・・108.76 (1月2日と同じ値)
1920年平均・・・90.35 (1月2日と12月31日の中間地)

6.トウモロコシ価格の推移

前回、調べたデータに上のダウ指数を当てはめて計算すると、以下のとおりです。

年月 価格(増減比) ダウ指数(増減比)
1920年4月 1.64 108.76
1946年6月 1.42 (-13.41%) 205.62 (+89.06%)
1951年2月 1.60 (+12.68%) 252.05 (+22.58%)
1973年4月 1.42 (-11.25%) 921.43 (+265.57%)
1980年7月 2.73 (+92.25%) 935.32 (+1.51%)
1999年4月 1.69 (-38.10%) 10729.86 (+1047.19%)
2011年1月 5.37 (+217.75%) 11819.93 (+10.16%)

価格の単位:ドル/ブッシェル

7.小麦価格の推移

トウモロコシと同様にダウ指数の推定値を当てはめます。

年月 価格(増減比) ダウ指数(増減比)
1920年4月 2.43 108.76
1946年6月 1.74 (-28.40%) 205.62 (+89.06%)
1951年2月 2.21 (+27.01%) 252.05 (+22.58%)
1973年4月 2.15 (-2.71%) 921.43 (+265.57%)
1980年7月 3.81 (+77.21%) 935.32 (+1.51%)
1999年4月 2.57 (-32.55%) 10729.86 (+1047.19%)
2011年1月 6.71 (+161.09%) 11819.93 (+10.16%)

価格の単位:ドル/ブッシェル

8.原油価格の推移

ここでは、ダウ指数の1920年平均の推定値を当てはめます。

年月 価格(増減比) ダウ指数(増減比)
1920年 3.07 90.35
1946年 1.41 (-54.07%) 191.75 (+112.23%)
1951年 2.53 (+79.43%) 257.52 (+34.30%)
1973年 3.89 (+53.75%) 924.06 (+258.83%)
1980年 21.59 (+455.01%) 891.14 (-3.56%)
1999年 15.56 (-27.93%) 10481.56 (+1076.20%)
2011年 97.00 (+523.39%) 12000.96 (+14.50%)

価格の単位:ドル/バレル

注)ダウ指数は、各日Close値の年平均。

9.分析

(1)1920年~1946年の商品の弱気相場

トウモロコシ、小麦、原油のいずれも、商品価格が、この期間中に、10%以上、下落しています。
一方で株価は、100%前後の上昇を見せています。

(2)~(6)は、前回の記事を参照してください。

10.価格上昇率の比較判定

(1)1920年~1946年の商品の弱気相場

株式 > 商品 

(2)1946年~1951年の商品の強気相場

株式 = 商品 ・・・ 殆ど変らないが、若干、商品の方が、上回っている。

(3)1951年~1973年の商品の弱気相場

株式 >> 商品 ・・・ 大差

(4)1973年~1980年の商品の強気相場

株式 << 商品 ・・・ 大差

(5)1980年~1999年の商品の弱気相場

株式 >> 商品 ・・・ 大差

(6)1999年~2011年の商品の強気相場

株式 << 商品 ・・・ 大差

以上のように、1920年~1951年の商品の弱気相場でも、株式が、相対的に有利だったことが分かりました。

次回は、1920年~1951年の長期金利の動向も参照しながら、さらに、今回の結果の分析を行う予定です。