米国で急拡大している電力コントロール事業

米国で急拡大している電力コントロール事業について、三井物産戦略研究所がレポートしています。
いずれも、スマートグリッドの初期段階の事業として注目されます。


1.デマンドレスポンス(DR)

DRとは、供給者側からエンドユーザーの電力利用をコントロールして、ピーク時の電力需要を削減する方法。

例えば夏場などの電力需給が逼迫する際には、電力事業者がスマートメーターを使って各家庭の冷房の温度
設定を直接コントロールし、また工場、オフィス等大量の電力を消費している設備に対して送電量を落とす、といった方法である。

DRの事業モデルは次の通りである。DR事業者は発電業者、送配電業者とは別のサードパーティであり、多数のエンドユーザーと、電力消費のピーク時に一定範囲内で電力供給をカットすることを容認する旨の契約を個別に結ぶ。その削減量を取りまとめ、ISO(Independent System Operator : 独立系統運用者)との間で、電力の需給逼迫時の削減電力量をコミットする契約を締結する。

DR事業者はISOから対価を受け取り、それをエンドユーザーと40対60程度でシェアする。電力の需給が逼迫せず、DR実行の要請がない月でも対価はISOからDR事業者やエンドユーザーに定期的に支払われる。

ISOは、電力消費のピーク時の供給量を固定することによって、過大な投資を避けることが出来る。

2.アンシラリーサービス

瞬間的な電力負荷変動が生じた際に電力系統の周波数や電圧の品質を維持するために、負荷応答性に優れた蓄電池、フライホイール等を活用して数十秒単位で充放電して出力を調整するサービス。

電力自由化が進み同じ地区に複数の電力会社が存在する米国では、上記のようなサービスをISOに提供する独立系のサードパーティ事業者が出現し始めており、今後の成長が見込まれている。

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DR、アンシラリーサービスのどちらの事業も、現在のデータセンターのサービスに近いものがあります。
データセンターの運営ノウハウを持っているグーグルが、風力発電や次世代送電網の事業へ進出を目指しているのは、ある意味で自然な流れかもしれません。