検証システム 第23回 1960年代以降の逆イールド検知(訂正1)

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前回までに、古い日付を取り扱うためのシステム修正を行い、セントルイス連銀の情報サイトから、1954年以降の3ヶ月債(既発債)の金利データをダウンロードして、サーバー上で90日移動平均金利を計算しました。

今回は、このデータをローカル環境にダウンロードして、1960年代以降の移動平均金利による逆イールドを求めます。


●図1 逆イールドの抽出結果

逆イールドの抽出クエリを開くと、図のように、1966年からの移動平均金利による逆イールドデータが表示されます。

このデータをまとめてグループ化すると、以下のようになります。

グループ1. 1966年11月 4日~1967年 3月28日 通算日数 95日
グループ2. 1969年 8月14日~1970年 3月19日 通算日数147日
グループ3. 1973年 7月27日~1974年12月19日 通算日数347日
グループ4. 1979年 3月 1日~1980年 6月30日 通算日数333日
グループ5. 1980年12月19日~1981年10月22日 通算日数211日
グループ6. 2000年10月 6日~2001年 3月30日 通算日数120日
グループ7. 2006年10月25日~2007年 7月 6日 通算日数176日

この期間中に発生した景気後退との関係を表すと以下のようになります。
(以下の年月は景気後退入りした年月です。)

グループ1. 景気後退なし
グループ2. 1969年12月 先行月数 4ヶ月
グループ3. 1973年11月 先行月数 3ヶ月
グループ4. 1980年 1月 先行月数10ヶ月
グループ5. 1981年 7月 先行月数 6ヶ月
       1990年 7月 (逆イールドなし)
グループ6. 2001年 3月 先行月数 5ヶ月
グループ7. 2007年12月 先行月数13ヶ月

このように、1960年代以降、7回、逆イールドが発生しており、そのうち、6回が景気後退に先行しています。
また、1990年7月に始まった景気後退には、逆イールドが検知されませんでした。

文章としてまとめると以下のとおりです。

米国債10年債利回り(変動利付き債)と3ヶ月債利回り(既発債)との逆イールドが、
景気後退を予測して的中する確率:85.7%
景気後退を見逃す確率:14.3%
平均先行期間:6.8ヶ月
である。

このように、1960年代まで遡っても、逆イールドは景気後退の先行指標として、有効であることが分かります。

さらに、別の角度からの検討によって、以下の二つの事実が分かっています。
・上のグループ1.においても、イールドカーブは、景気後退をほぼ正確に予想していた。
・変動利付き債の3ヶ月債では、1990年の景気後退の前にも、逆イールドが発生していた。

次回は、このような事実を詳しく説明して、逆イールドの先行指標としての有効性を再確認することにします。