ピーク・フォスフォラス(リンのピーク) (3)


リンという貴重な資源を効率的に抽出する先進的な手法が必要です。
肥料価格が高くなることは、非効率な使用方法を不可能とする点で重要です。
その一方で、食糧価格の高騰は避けなければなりません。

化学肥料から、有機肥料や堆肥に転換することも有効です。
EUが共通農業政策で、毎年、500億ユーロの補助金を支出していますが、このような補助金は、肥料価格を低下させるので、廃止することが必要です。

しかしながら、リン資源を確保する上で、最も有効な方法は、食料廃棄物や下水汚泥からリンを回収するリサイクルシステムの確立です。
輸入肥料の価格の中には、輸送に伴う燃料価格も含まれているので、気候変動に対する炭素税のようなインセンティブも有効だと考えられます。

今のところ、リン資源の減退の問題は、政府や国連、NGOなどを除いて、殆ど知られていません。
2009年5月にカナダのバンクーバーで、肥料のリサイクルシステムの確立に関して、国際会議が開かれ、30ヶ国が参加しました。
しかし、民間の反応は、殆どありません。
今後の課題は、この問題をどうやって、一般に知らしめるかです。

(終わり)

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リン不足の問題を放置しておけば、臨界点に達したときに、一気に肥料価格が高騰して、食糧価格も数倍に上昇すると考えられます。
この問題を早期に解決するためには、肥料価格を高めに誘導する必要がありますが、そのとき、食糧価格も、徐々に上昇すると考えられます。
いずれにしても、リンのリサイクルシステムが確立するまで、食糧価格の上昇は避けられないというのが、結論です。