米国の統計局の発表では、5月末の製造業と流通業の在庫は、1兆3681億ドルで、前月比で1%減、前年同月比で8%減となりました。
上の最初のグラフは、製造業と流通業の在庫の推移を、三ヶ月での変化率で表したものです。
グラフを見て分かるように、今回の景気後退では、当初は、在庫調整の進展が緩やかでしたが、昨年の後半から急激に、在庫調整の進展が進んでいることが分かります。
普通は、これほど、急激に在庫調整が進むと、景気が底を打った時点で、生産と流通が急回復するのですが、米国では景気の底這い状態が続いています。
上の二番目のグラフは、在庫を売上で割った比率の推移を表しています。
このグラフを見ると、売上に対する在庫は、依然として高く、ピークから少し下がった程度にあることが分かります。
このように、米国では、在庫は急減しているものの、売上の大幅な減少によって、在庫調整の効果が相殺されしまっているのです。
日本では、急激な在庫調整後に、比較的に順調に生産が回復しているために、景況感が改善していますが、米国では、景況感改善が、日本よりも遅れる可能性が高いと言えます。