このグラフを見ると、1950年前後を境に、利回りの動き方が大きく変わっていることが分かります。
1950年以前は、利回りの変動が非常に少なく、ほぼ、横に一直線です。
これは、1929年の大恐慌後の不況と1939年から始まる第二次世界大戦を通じて、FRBが米政府から直接、米国債を買い入れて金利の変動を抑える、国債価格維持政策が行われていたためです。FRBは、長期金利を、2.5%に維持することが政策目標だったと言われています。
しかし、景気が次第に回復し、さらに、軍事費の支出が増えてくると、短期金利を、ゼロに抑えたことによる弊害が出始めます。
以下のグラフは、最初のグラフと同じ期間における、米国のCPIの前年同月比の推移です。
「アコード」の締結後、FRBは、物価の安定を政策目標として、短期金融市場の目標レートの操作を通じた金融政策に専念し、一方、米財務省は、米国債市場に向き合って、財政政策を行うようになり、長短の金利が市場で形成されるようになりました。1950年以降に、利回りの変動が大きくなったのはこのためです。
次回は、1950年から1961年に、逆イールドが発生しなかった理由を探ってみたいと思います。