今後40年間で急増する世界の人口と食糧需要

Farmland Forecastが、カナダのサスカチュワンで開かれた菜種国際会議での、興味深い講演内容を報告しています。


ロバート・トンプソン博士は、世界銀行の元副総裁で、イリノイ大学教授を引退されました。以下は、博士の講演内容からの抜粋です。

・世界の人口は、現在、約68億人で、2050年までに、26億人増加する。

・中国の人口は、約13億人なので、今後、新たに中国が、あと二ヶ国分増えることになる。

・現在の人口を約70億人とすると、14億人が1日1.25ドル未満で生活している。9.25億人は、1日の必須栄養量の1800カロリーを摂取できていない。

・また、26億人が1日2ドル未満で生活している。最低の生活水準は維持できているが、余裕は無い。

・基礎的な食糧を摂取して、その他に余裕を持たせるためには、1日10ドルが必要だと考えられる。

・1日10ドルの収入を超えて来ると、余裕が出来てくるために、食糧に対する需要が急拡大する。

・現在、中国の人口の15%が1日1ドル未満の収入で、33%が1日2ドル未満の収入である。

・インドでは、人口の45%が1日1ドル未満の収入で、75%が1日2ドル未満の収入である。

・今後の経済成長により、インドの食糧需要は、中国を凌ぐと考えられる。

・現在、人口の50%が都市に住んでいる。2050年には、70%に達すると考えられる。

・今世紀の前半に、世界人口が70億人から90億人に拡大すると、食糧に対する需要は50%拡大する。

・しかし、大きな気候変動が無いとしても、農地として利用可能な土地は、現在の12%を拡大するのが限界である。

・未開発の農地の大半は、南アメリカか、アフリカのサブサハラ地域に存在する。これらの土地の土壌は貧弱だが、適切な管理と土壌改良で利用可能となる。

・現在、真水の70%は農業に利用されている。しかし、都市部の人口が拡大すると、都市での需要が拡大して、農業に利用可能な真水は減少する。

発展途上国の農作物の25%が消費者に届く前に、失われている。


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「この予測が半分程度、当たったとしても、カナダの農家は、全ての農地だけでは無く、バスタブまでも使って、小麦や菜種を育てるだろう。」とこのブログの著者は言っています。