一枚の写真が語るサウジの苦悩と不安

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上の写真は、去る5月10日にサウジアラビアのリヤドで開かれたGCC6カ国首脳会議の時のものです。
アラビア半島定点観測より引用しました。

中央で杖をついているのが、サウジアラビアのアブダッラー国王、88歳です。

アブダッラー国王は、昨秋にニューヨークで椎間板ヘルニアの手術を受けましたが、このような、衰えが目立つ写真が公開されたのは初めてで、中東及びエネルギー関係者を驚かせました。

サウジの世代交代が迫っていることは、この写真からも間違いないのですが、スルタン皇太子も80歳代前半と高齢で心臓の持病があります。

また、サウジアラビアではサウド家が絶対的な権限を持ち、しかも一族のなかに未だ多くの異母兄弟がいるため、後継者を巡る争いがいつ表面化しても不思議ではありません。

さらに、サウジ国内ではシーア派教徒や若者による王制批判の動きがくすぶり、対外的にはシーア派イランとの対立、GCC内部では台頭するUAE、カタールとの軋轢などの問題があります。

たった、一枚の写真ですが、杖一本で体を支えるアブダッラー国王の姿は、サウジが直面している苦悩と将来への不安を、何よりも物語っているようです。