【直近の履歴】
第15回 石油危機と商品循環の関係
第14回 1950年から1980年の原油価格
第13回 1900年から1947年の原油価格
今回は、元のシリーズに戻って、商品循環のボトムを調べる方法を検討します。
1.商品循環のボトム は 商品価格の底か ?
商品循環のピークを、商品の強気相場から弱気相場への転換点と考えた場合、商品価格のピーク(高値)とほぼ一致します。
同様に、商品循環のボトムを、商品の弱気相場から強気相場への転換点と考えた場合、商品価格のボトム(底値)と一致するでしょうか?
以下に、商品価格の底について調べてみます。
2.商品価格の底は、何時か?
以下は、ロイターが算出している商品指数の1910年からの推移です。(算出根拠は不明)
過去3回の商品循環で、指数(価格)のボトムは、以下の時期に付けています。
1回目・・・1932年6月
2回目・・・1968年7月
3回目・・・2001年10月
しかし、弱気相場から強気相場への転換点をグラフから読み取ると、以下のように、指数(価格)とは、必ずしも一致していません。
1回目・・・1946年頃・・・指数(価格)の底から14年後
2回目・・・1974年頃・・・指数(価格)の底から6年後
3回目・・・2001年頃・・・指数(価格)とほほ一致
これは、緩慢で長期的な弱気相場(後方テール)の中で、商品価格が底値を付けており、そこが、必ずしも、相場の転換点とは一致しないからです。
以上のように、商品価格の底と、商品循環のボトムは、必ずしも一致しないと言えます。
3.商品循環のボトムを定義する
以下のチャート(CRB指数)を見ると1972年頃が相場の転換点であることは、明らかです。
ここで、上のチャートを参考に商品循環のボトムを以下のように定義してみます。
「商品価格の長期的に価格変動の小さい時期が続き、その後、急速に価格が上昇を始めた時期を、商品循環のボトムとする。」
4.商品循環のボトムをPPIから検出する方法(方針)
PPIの変化から、上のように定義した商品循環のボトムを探し出すために、以下のように方針を決めました。
(1)価格変動の大きさを求める。
PPIの前年同月比の2年間の標準偏差を全データについて計算して価格変動の大きさを求めます。
(2)長期的に価格変動の小さい時期を探し出す。
上記の標準偏差が小さい期間が長期間続いている時期を探し出します。
例えば、標準偏差が1未満の時期が1年間以上続いている期間など。
(3)急速に価格が上昇を始めたポイントを探し出す。
上記の標準偏差が小さい期間が長期間、続き、さらに、短期間で、例えば、標準偏差が3ポイント以上、増加した時期を探し出します。
次回は、以上の方針に従って、実際にPPIデータを調べる事にします。