中国の超高圧(UHV)送電技術

富士通総研の金 堅敏さんが、中国における超高圧(UHV)送電技術に関して、レポートしています。


・長距離・大容量の送電インフラが求められている中国では、2004年ごろから超高圧(UHV)送電の技術開発や商業化に取り掛かった。2009年1月~10年8月にかけて世界初の交流100万ボルトUHV試験線と、同じく世界初かつ世界最長の±800kv直流UHV送電線が運転開始された。運転の蓄積を積んだ中国は、「12次5ヵ年計画」で4万キロに及ぶUHV基幹送電網を整備する計画(投資額7兆円以上)を打ち出した。

・大規模なUHV基幹送電網を急ぐ中国は、当初から海外との技術交流や人材育成を仰ぎつつ、自主技術開発力や電力設備製造産業競争力の強化、つまり、市場誘導型の産業育成を狙っている。交流100万ボルト送電プロジェクトでは76%以上の設備が国内メーカーによって供給されるなど、その戦略は狙いどおりに実りつつある。UHV送電技術商業化で世界をリードする中国は海外進出を狙い始めている。技術力に長けた日本企業もシステムを輸出する中国企業の戦略から学ぶべきである。

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超高圧(UHV)送電や直流送電の技術は、エネルギー関連のキーテクノロジーのひとつです。
例えば、グローバルな直流送電網が構築されると、遠隔地の水力発電の利用や、国家間での夜間電力の融通などで、一気にエネルギー問題を解決するポテンシャルがあると言われています。

この分野は、先進国も商業的には未開拓な分野なので、中国など新興国との技術開発競争が激しくなることが予想されます。