欧州環境情報

日本産業機械工業会が、欧州の環境ビジネス及び環境政策に関する最新情報をレポートにまとめています。

決して順調とは言えない欧州の環境政策/ビジネスの実態を示す報告を何点か列挙してみました。


1.ドイツ、さらなる送電線が必要

・風力や太陽光発電のエネルギーは低容量送電網しか持たない遠隔地域で生産されることが多い。
・ドイツは2015 年までに新規に高圧送電線850km 分が必要であることを示していたが、現在までにはそのうちの80~90km 分しか建設されていない。

2.ドイツの石炭輸入、環境運動家の反対にも関わらず増加

・ドイツの熱用石炭消費は、2009 年の1 億2,900 万トンから2015 年までに1 億3,800 万トンにまで増加すると見込まれている。

3.スマートメーターだけでは、大幅な省エネは不可能

・オランダのデルフト技術大学の研究では、304 人を対象とした4 ヶ月にわたる調査を行い、さらに11 ヶ月後に再調査を行うという実験を行った。結果として、4 ヶ月後には7.8%の省電力を達成できたものの、11 ヶ月後には元に戻っており、中長期的に家庭内省エネルギーを継続することは困難であることを示している。

4.IAEA原子力発電供給増加の予測

・世界の電力の原子力発電が占める割合は、2030 年まで10.4%になると、IAEA は予測しているが、これは前年予測値の9%からも増加している。さらに2050 年には最大で11.9%にまで上昇すると予測している。

5.炭素回収技術、欧州では絶望的

・革新的な炭素回収技術が、経済危機後の欧州では、試験段階をほとんど通過できておらず、再生可能エネルギーへの移行が優遇策を破壊していると、新研究が警告している。

6.欧州委員会バイオ燃料の否定的データ公表を迫られる

・欧州のバイオ燃料政策が、15 億トンの温室効果ガス発生に相当する副作用を発生させる原因となっており、この量はロシアやインドの年間の排出量にほぼ相当すると、公式報告書が警告している。これは20 年以上の時間軸で見ると、バイオ燃料がガソリン以上に温室効果ガスを排出することを意味している。