【最近の経過】
第41回 長期40年シミュレーション 実質年利を計算する
第42回 長期40年シミュレーション Buy&Hold戦術との比較
第43回 長期40年シミュレーション 1979年の特殊事情
第41回 長期40年シミュレーション 実質年利を計算する
第42回 長期40年シミュレーション Buy&Hold戦術との比較
第43回 長期40年シミュレーション 1979年の特殊事情
前回、インフレ時において、景気循環に関わらず名目の資産価値の上昇が発生する結果、逆イールド/ノーズタイブ戦術の有効性が低下することが分かりました。
今回は、Buy&Hold戦術と逆イールド/ノーズタイブ戦術を、インフレ時とそれ以外の時で、使い分ける混合戦術を検討してみます。
1.前提条件
●インフレ時
直近のCPIの伸び率が前年同月比で、8%以上の場合は、インフレ下にあると判断して、ロングカバーとショートポジションの構築を行いません。
その後、景気後退が発生し、さらに、次の景気回復期に入った時点で、再び、逆イールドの検知体制に入ります。
●インフレ時以外
直近のCPIの伸び率が前年同月比で、8%未満の場合は、インフレ以外であると判断して、これまでどおりに、ロングカバーとショートポジションの構築を行います。
2.長期シミュレート結果
上の前提条件で、40年間の長期シミュレートを行った結果は以下の通りです。
取引→年利率(単利)→資金残高
1.1969年ショート →△30.39%→114.28
2.1970年ロング →△ 8.60%→145.41
3.1973年ショート →△48.93%→228.43
4.1974年ロング →△24.31%→1,052.27
5.1989年ショート →△ 9.95%→1,165.74
6.1990年ロング →△27.35%→4,353.80
7.2000年ショート→△23.64%→6,583.77
8.2002年ロング →△12.68%→9,785.05
9.2006年ショート→△27.26%→16,452.50
10.2009年のロング→△46.65%→22,208.89
1.1969年ショート →△30.39%→114.28
2.1970年ロング →△ 8.60%→145.41
3.1973年ショート →△48.93%→228.43
4.1974年ロング →△24.31%→1,052.27
5.1989年ショート →△ 9.95%→1,165.74
6.1990年ロング →△27.35%→4,353.80
7.2000年ショート→△23.64%→6,583.77
8.2002年ロング →△12.68%→9,785.05
9.2006年ショート→△27.26%→16,452.50
10.2009年のロング→△46.65%→22,208.89
上のように、前回の取引にあった1979年と1980年のショートポジションが、CPIが8%未満という条件を入れたことで、除外されました。
以下は、各ショートポジションの直近月とその時点でのCPI伸び率(前年同月比)の一覧です。
1969年ショート →1969年7月→5.44%
1973年ショート →1973年7月→6.00%
1979年ショート →1979年2月→9.86%・・・8%以上で回避
1980年ショート →1980年11月→12.65%・・・8%以上で回避
1989年ショート →1989年7月→4.98%
2000年ショート →2000年8月→3.41%
2006年ショート →2006年8月→3.82%
1969年ショート →1969年7月→5.44%
1973年ショート →1973年7月→6.00%
1979年ショート →1979年2月→9.86%・・・8%以上で回避
1980年ショート →1980年11月→12.65%・・・8%以上で回避
1989年ショート →1989年7月→4.98%
2000年ショート →2000年8月→3.41%
2006年ショート →2006年8月→3.82%
3.実質年利(複利・名目)の計算
長期シミュレート結果から、実質年率を求めると以下のとおりです。
当初元本:93.07
最終残高:22,208.89
期間:40.5年
最終残高:22,208.89
期間:40.5年
混合戦略の実質年利(複利・名目):14.57%
4.実質年利(複利・実質)の計算
長期シミュレート結果から、物価上昇分を控除して、実質年率を求めると以下のとおりです。
当初元本:93.07
最終残高:21,758.76
期間:40.5年
最終残高:21,758.76
期間:40.5年
混合戦略の実質年利(複利・実質):14.51%
5.年代別の実質年利
上の実質年利(実質)を年代別に分けて求めると以下のようになります。
1969年~1974年・・・15.57%(19.32%)
1974年~1989年・・・10.30%(10.85%)
1989年~2000年・・・15.25%(13.67%)
2000年~2010年・・・20.06%(19.26%)
1974年~1989年・・・10.30%(10.85%)
1989年~2000年・・・15.25%(13.67%)
2000年~2010年・・・20.06%(19.26%)
括弧内は名目
6.結果分析
逆イールド/ノーズタイブ戦術を全期間に渡って適用した場合の実質年利は、13.88%でしたので、混合戦術では、0.63%(=14.51%-13.88%)だけ年利が高いことになります。
その差が僅かだった理由は、逆イールド/ノーズタイブ戦術で、損失となっていた1979年のショートポジションと、利益となっていた1980年のショートポジションの両方が、混合戦術で回避され、損失と利益が相殺されたからです。
この結果、インフレ時は、逆イールド/ノーズタイブ戦術とBuy&Hold戦術のパフォーマンスは、ほぼ、同程度で、後者がやや優ると言えます。
次回は、直近月のCPI伸び率では無く、数ヶ月間のCPI伸び率のトレンドからインフレの傾向を判断して、取引する方法を検討することにします。