検証システム 第42回 長期40年シミュレーション Buy&Hold戦術との比較


今回は、前回までの長期シミュレーションと同じ40年間の期間で、株式を保有し続けるBuy&Hold戦術のシミュレーションを行います。

最後に、逆イールド/ノーズタイブ戦術とパフォーマンスの比較をします。

1.前提条件

以下の相違点を除いて、逆イールド/ノーズタイブ戦術の前提条件と同じです。

(1)手数料の計算

 逆イールド/ノーズタイブ戦術の場合は、各ポジションを建てた時の株価に手数料率を掛けて、手数料を求めましたが、Buy&Hold戦術でこの方法を採ると、40年前の株価を全期間に渡って使用することになるために、誤差が大きくなります。
 従って、Buy&Hold戦術では、初期の株価と最終的な株価が線型に変化すると見なして、等差級数によって株価の積数を求めて、それに、手数料率を掛ける事によって、手数料総額を求めます。

(2)配当金の計算

 上の手数料と同様に、初期の株価と最終的な株価が線型に変化すると見なして、株価の積数を求めて、それに、配当料率を掛ける事によって、配当総額を求めます。

2.シミュレーション結果

(1)ロングポジション構築

   日付・・・1969年8月14日
   株価・・・93.34

(2)ロングポジションをカバー

   日付・・・2009年12月31日
   株価・・・1115.10

(3)手数料総額・・・22.30

(4)配当総額・・・396.37

(5)粗利・・・1395.83

(6)税額・・・279.17

(7)最終資金残高(名目)・・・1210.01

(8)当初元本の物価上昇分・・・451.44

(9)最終資金残高(実質)・・・758.57

(10)実質年利(複利)・・・5.31%

3.パフォーマンス比較

 上のシミュレーション結果のように、Buy&Hold戦術で、40年間、株式を保有し続けた場合の実質年利(複利)は、5.31%でした。

 前回、求めた、同期間での逆イールド/ノーズタイブ戦術の実質年利(複利)は、13.88%ですから、逆イールド/ノーズタイブ戦術のパフォーマンスは、Buy&Hold戦術の2.61倍ということになります。

 逆イールド/ノーズタイブ戦術では、イールドカーブ景気循環を予測しながら、株価下落時も、ショートポジションで利益を上げるので、同じ期間で損失となるBuy&Hold戦術よりも、理論的には、3倍程度のパフォーマンスとなります。

 実際のパフォーマンスの開きが3倍に達しないのは、景気循環の予測と実際の株価の転換点のずれが生じたり、1979年のように景気後退期でもインフレで名目株価が上昇するケースがあるためだと考えています。

 また、見方を変えると、一旦、株式を購入すれば手間の掛からないBuy&Hold戦術と比べて、イールドカーブの監視、移動平均金利の計算等の日次のチェックが必要となる逆イールド/ノーズタイブ戦術は、その手間の代償として、2.61倍のパフォーマンスが得られるとも言えます。

 次回は、逆イールド/ノーズタイブ戦術の過去14回の取引で、唯一、赤字となった1979年のショートポジションについて、詳しく検証してみたいと思います。