検証システム 第41回 長期40年シミュレーション 実質年利を計算する


前回で、1990年代~2000年代の長期シミュレーションが完了したので、今回からその結果を分析します。

1.取引毎の明細

先ず、取引毎の利益率と、取引後の資金残高の推移を一覧すると以下のようになります。

取引→年利率(単利)→資金残高
1.1969年ショート →△30.39%→114.28
2.1970年ロング  →△ 8.60%→145.41
3.1973年ショート →△48.93%→228.43
4.1974年ロング  →△11.65%→345.98
5.1979年ショート →▲22.52%→242.10
6.1980年ロング  →△18.89%→276.40
7.1980年ショート →△19.45%→334.64
8.1982年ロング  →△21.52%→874.73
9.1989年ショート →△ 9.95%→969.06
10.1990年ロング →△27.35%→3619.23
11.2000年ショート→△23.64%→5,472.95
12.2002年ロング →△12.68%→8,134.12
13.2006年ショート→△27.26%→13,676.63
14.2009年のロング→△46.65%→18,461.80

以上のように、合計14回の取引のうち、損失となったのは、5番目の1979年ショートの1回だけで、残りの13回は利益が出ています。(14戦13勝1敗、勝率92.9%)

勝率から見ても、逆イールド/ノーズダイブ戦術は、有効な戦術と言えます。

また、損失となった1979年は、商品価格高騰とインフレが同時に進んだ時期で、このような時期への対応方法は、別途、詳細に検討したいと思います。

2.物価上昇分の除去

次に、資金残高に含まれる物価上昇分を取り除いて、投資利益のみが残るようにします。

いつも利用しているセントルイス連銀の情報サイトから、以下のように、各取引年月毎のCPIを取得して来ました。


取引日 CPI 物価上昇分
Aug-69 37 0.00
May-70 38.6 0.04
Jul-73 44.3 0.20
Sep-74 50.6 0.37
Mar-79 69.8 0.89
Jun-80 82.7 1.24
Dec-80 86.3 1.33
Jan-82 94.3 1.55
Aug-89 124.6 2.37
Sep-90 132.7 2.59
Sep-00 173.7 3.69
Nov-02 181.3 3.90
Sep-06 202.9 4.48
Mar-09 212.709 4.75
Dec-09 215.949 4.84

このデータを使って、各取引後の資金残高から当初元本(93.07)に対する物価上昇分を控除すると以下のとおりです。

取引→期間(年数)→資金残高(実質)
1.1969年ショート →0.75→110.26
2.1970年ロング  →3.17→127.05
3.1973年ショート →1.17→194.22
4.1974年ロング  →4.42→263.47
5.1979年ショート →1.33→127.14
6.1980年ロング  →0.75→152.39
7.1980年ショート →1.08→190.51
8.1982年ロング  →7.50→654.38
9.1989年ショート →1.08→728.33
10.1990年ロング →10.00→3,275,37
11.2000年ショート→2.17→5,109.98
12.2002年ロング →3.83→7,716.81
13.2006年ショート→2.50→13,234.65
14.2009年のロング→0.75→18,011.67

合計期間:40.5年

3.実質年利(複利)の計算

当初元本:93.07
最終残高:18,011.67
期間:40.5年

以上の要素から実質年利(複利)を求めると、13.88%となります。
これは、投資額が、5年で1.9倍になる利回りなので、実質年利から見ても、逆イールド/ノーズダイブ戦術は、有効であると言えます。

4.年代別の実質年利

上の実質年利を年代別に分けて求めると以下のようになります。

1969年~1979年・・・11.58%
1979年~1989年・・・ 8.90%
1989年~2000年・・・15.64%
2000年~2010年・・・20.24%

上のように、商品の強気相場であった1980年代は、利回りが低く、逆に、株式の強気相場であった1990年代から2000年代は、利回りが高くなるようです。

逆イールド/ノーズダイブ戦術は、株式の買い持ちだけでは無く、株式の売り持ちも行うので、株式相場が低迷しても、ある程度の利益は出るのですが、やはり、商品の強気相場においては、商品のロングを組み合わせるなどの、何らかの対処が必要だと言う事が、今回、分かりました。

次回は、単純に株式を買い持ちした場合(バイ&ホールド)と、逆イールド/ノーズダイブ戦術のパフォーマンスを比較してみようと思います。