検証システム 第37回 長期40年シミュレーションの前提条件(訂正2)


前回までに確定した逆イールドとノーズダイブのロジックを適用して米国株式投資を行うことによって、乖離率ベースで、以下のパフォーマンスが得られることが分かりました。

 株価のピークから-9.4%(±1.92%)で売却
 株価のボトムから+13.11%(±4.83%)で購入

今後は、商品投資など、他の投資方法と比較を行うために、過去のデータから投資収益率を測定することにします。

方法としては、過去40年間に対する長期的なシミュレーションを行ない、その結果から投資収益率を求めることにします。

今回は、その第一回目として、シミュレーションの前提条件を決める事にします。

1.投資対象

 米国株の代表的な指数であるS&P500指数を取引します。

2.投資期間

 1966年のベトナム戦争時を除いて、最初の逆イールド検出日である1969年8月14日に取引を開始して、2009年12月31日に取引を終了します。この、約40年半を投資期間とします。

3.ポジション保有期間

 上の全ての投資期間において、常に、ロングまたはショートのポジションを保有します。

4.投資商品

 (1)ロング・ポジション

    S&P500に連動するETFであるiシェアーズ@ S&P 500 インデックス・ファンドを購入します。
    このファンドのレバレッジは、1倍です。

 (2)ショート・ポジション

    S&P500の空売りETFであるUltraShort S&P500 Pro Sharesを購入します。
    このファンドのレバレッジは、2倍です。

 (3)ETF選択の理由

    40年前にETFは存在しなかったので、過去の実績を検証するためには、株価指数先物のロングまたはショートをロールオーバーして、長期保有するのが実態に近いと思います。
    ただし、現在の投資商品では、ETFを選択する可能性が高いので、手数料や収益の現実感という点を重視して、今回、この前提条件としました。
    今後、商品先物と比較する場合には株価指数先物で再計算する可能性があります。

5.手数料

  ETFの購入時と一年経過する毎に、以下の手数料(信託報酬)がかかります。

  ロング・ポジション ・・・0.09%
  ショート・ポジション・・・0.95%

  実際の手数料額は、各取引でポジションを建てた時点の株価に、この手数料率を掛けて、求めます。

6.配当収入

  ロング・ポジションのETFを購入した場合、四半期毎に、配当収入が得られます。
  この配当収入は、全額を留保して、次のショートポジションのETFの購入に充てます。

  配当利回りは、直近の実績である年1.6%を全期間に適用し、各取引でポジションを建てた時点での株価に、この配当利回りを掛けて、求めます。

7.租税

  米国の租税制度がまだ分からないので、日本と同様と見なして、配当収入とキャピタルゲインに対して、一律、20%の税率とします。

8.損失の繰り延べ

  これも、米国の租税制度がまだ分からないので、日本と同様と見なして、損失が生じた年から、5年間、繰り延べが可能とします。

  また、配当収入とキャピタルゲインの損益通算も、日本と同様に行えると見なしました。

9.取引タイミングと取引内容

  以下のタイミングで各取引を行います。
 
  (1)期間初日の1969年8月14日(逆イールド検知日)
     
     当日から2Qの期間にわたって、平均的に売り取引(ショートETFの購入)を行ないます。※注

  (2)移動平均金利の逆イールド発生時(1969年8月14日以外)

     逆イールド検出後、2Qの期間にわたって、平均的に売り取引(ロングETFの売却とショートETFの購入)を行ないます。※注


  (3)ノーズダイブの一年後(ノーズダイブを検出しない場合は、金利の下落トレンド終了日)

     買いの取引(ロングETFの購入とショートETFの売却)を一括して行ないます。

  (4)期間最終日の2009年12月31日

     売りの取引(ロングETFの売却)を一括して行ないます。

   ※注   計算の簡素化のために、取引の手数料と配当収入は、逆イールドを検出した日に一括してかかると見なします。


10.投資収益率の計算方法

  最初のポジションを1単位、購入するのに要した資金と、最後のポジションを精算(売却)したときに得られた金額を、全投資期間で複利利回り計算して、投資収益率を求めます。

次回からは、この前提条件のもとで、実際のデータを用いて、シミュレーションを行います。