検証システム 第34回 ノーズタイブと株式購入タイミング


今回は、ノーズダイブと株式購入タイミングを検証します。

1.月数差

前回、ノーズタイブ検出日と、それに対応する株価の底との月数差を求めたところ、1970年~1971年を除いて、9~13ヶ月差という狭い範囲に入りました。

ノーズタイブ検出日の一年後と比較すると、以下のように、1970年~1971年を除いて、-3ヶ月~+1ヶ月の範囲に入ります。

ノーズダイブの一年後→株価の底→月数差
1971年3月25日→1970年5月26日→-10ヶ月
1974年9月27日→1974年10月3日→0ヶ月
1980年6月25日→1980年3月27日→-3ヶ月
1982年11月18日→1982年8月12日→-3ヶ月
1990年9月17日→1990年10月11日→+1ヶ月
2002年11月7日→2002年10月9日→-1ヶ月
2009年3月19日→2009年3月9日→0ヶ月

2.乖離率(ピンポイント)

次に、ノーズダイブ検出日の一年後の日に、ピンポイントで株式(S&P500指数)を購入した場合、株価の底値からどの程度離れているか、乖離率を求めます。

ノーズダイブの一年後(株価)→株価の底(株価)→乖離率
1971年3月25日(100.71)→1970年5月26日(69.29)→+45.35%
1974年9月27日(64.94)→1974年10月3日(62.28)→+4.27%
1980年6月25日(116.72)→1980年3月27日(98.22)→+18.84%
1982年11月18日(138.34)→1982年8月12日(102.42)→+35.07%
1990年9月17日(317.77)→1990年10月11日(295.46)→+7.55%
2002年11月7日(902.65)→2002年10月9日(776.76)→+16.21%
2009年3月19日(784.04)→2009年3月9日(676.53)→+15.89%

通常、底値の近くでは、価格変動が大きいので、乖離率20%未満が適正なパフォーマンスと考えています。

上の結果を比較すると、1971年が45.35%、1982年が35.07%と、底値からかなり高い価格で買うことになるので、パフォーマンスが良くありません。

3.乖離率(平均購入)

1982年は、ノーズダイブの一年後と株価の底との月数差が小さいにも関わらず、乖離率が大きくなっています。従って、ピンポイントでの購入ではなく、一定期間、平均的に購入することによって、乖離率を下げる事が期待されます。

ノーズダイブ検出日の9ヶ月後から13ヶ月後の範囲で、平均的に株式(S&P500指数)を購入した場合、株価の底値からどの程度離れているか、乖離率を求めると以下のようになります。

ノーズダイブの一年後(株価)→株価の底(株価)→乖離率
1971年3月25日(97.66)→1970年5月26日(69.29)→+49.94%
1974年9月27日(74.53)→1974年10月3日(62.28)→+19.67%
1980年6月25日(110.74)→1980年3月27日(98.22)→+12.06%
1982年11月18日(130.43)→1982年8月12日(102.42)→+27.35%
1990年9月17日(335.35)→1990年10月11日(295.46)→+13.50%
2002年11月7日(888.79)→2002年10月9日(776.76)→+14.42%
2009年3月19日(819.78)→2009年3月9日(676.53)→+21.17%

1982年の乖離率は、下がりましたが、依然、30%近くあります。
また、1974年、1990年、2009年のパフォーマンスは、大きく悪化しているので、あまり望ましい結果ではありません。

4.グループ分け

ここで、視点を変えて、1971年と1981年のグルーブと、それ以外のグループを分けて考えてみます。
1971年と1981年以外のグルーブでは、ノーズダイブの一年後に購入することによって、良いパフォーマンスを得られます。

平均乖離率:12.25%

それでは、1971年と1981年のグルーブは、それ以外のグループとどのように区別できるのでしょうか。

最も、大きな特徴は、以下のように、逆イールドを検知した日から、金利の下落トレンドが始まった日が、大きく離れている事です。

逆イールド検知日→下落トレンド開始日→月数差
1969年8月14日→1970年2月6日→-1ヶ月
1973年7月27日→1973年11月15日→+2ヶ月
1979年3月1日→1979年6月5日→-4ヶ月
1980年12月19日→1981年9月9日→+9ヶ月
1989年8月9日→1989年4月14日→0ヶ月
2000年9月11日→2000年11月7日→+4ヶ月
2006年9月21日→2006年8月29日→+7ヶ月

上のように、1971年と1981年は、逆イールド検知から6ヶ月以上経過してから、金利の下落トレンドが開始しています。

逆イールド検知から平均で6.5ヶ月後に、景気の山に到達することから、1971年と1981年は、景気後退入り後に、金利の下落トレンドが開始していると考えられます。

実際に、データを調べてみると、以下のようになります。

逆イールド検知日→下落トレンド開始日→景気の山
1969年8月14日→1970年2月6日→1969年12月
1973年7月27日→1973年11月15日→1973年11月
1979年3月1日→1979年6月5日→1980年1月
1980年12月19日→1981年9月9日→1981年7月
1989年8月9日→1989年4月14日→1990年7月
2000年9月11日→2000年11月7日→2001年3月
2006年9月21日→2006年8月29日→2007年12月

上のように、1971年と1981年は、景気後退入り後に、金利の下落トレンドが開始していることが分かりました。

5.まとめ

景気後退入りの前に、金利の下落トレンドが開始している場合は、ノーズダイブの一年後に株式を購入することによって、良いパフォーマンス(平均乖離率:12.25%)が得られる。

景気後退入りの後に、金利の下落トレンドが開始している場合は、ノーズタイブは発生していないと考えられる。

次回は、1971年と1982年のように、景気後退入りの後に、金利の下落トレンドが開始している場合、どのようなタイミングで株式を購入すれば良いかを考えてみます。