有望なカンボジア農業(1)

ホーチミン市(旧サイゴン)在住の証券アナリストの竹内浩一さんが、ご自身のブログカンボジアの農業について、説明されていました。

とても良い内容なので、以下に原文のまま引用します。

●引用開始

(1)気象条件が良く、豊かな水があり、天災の無いカンボジア

 カンボジアには日本と異なって地震津波、台風、大洪水などの天災はほぼありません。気候帯としては、カンボジアは熱帯モンスーン気候に属しています。つまり、大まかに言って、季節は5月~10月の雨季と11月~4月の乾季に分かれ、3月~5月の最も暑い時期には最高気温は40度にも達します。雨季というと日本人は日本の梅雨を思い浮かべるでしょうが、熱帯モンスーン気候の雨季とは、スコール(日本でいう夕立のようなもの)が日中の一定時間に30~60分集中して降り、それ以外は太陽が燦燦と降り注ぎます。冬がないため、植物、樹木の成長は極めて早く、首都プノンペンでは、街路ごとに異なる樹種の花が1年中楽しめます。日本のサクラもプノンペンの街路に植えられており、年中温暖にも関わらず、なぜか日本のサクラとほぼ同じ時期に開花するそうです。

 地理的には、国土の中央をメコン、トンレサップ、バサックの3大河川が流れ、雨季には増水したメコン川の水がトンレサップ川へ流れ込んで有名な逆流を引き起こし、逆流した水が上流にある東南アジア最大のトンレ・サップ湖へ流れ込んで、湖の面積は2,600平方キロから13,000平方キロへ約5倍に拡大します。そして、乾季にはトンレ・サップ湖の水が引いたあとの場所は肥沃な土地となります。

 カンボジア人の気性は一般に穏やかと云われていますが、これは凍死するリスクもなく、いくばくかの田んぼと椰子とマンゴーの木がそれぞれ1本あれば生存できる、と言われるほど恵まれた風土に由来するもののようです。

(2)豊富な農業・林業用地と若い農村人口

 首都プノンペンを少し離れて郊外に出てみると、地平線まで続く広大な農地の拡がりに圧倒されることがあります。カンボジアの国土面積は181,035平方キロで日本の国土面積の約半分ですが、国土の20%を農地が、また60%を森林(野生のトラ、象、ワニなどが若干数ですが生息)が占める農業・林業用地が極めて豊富な国です。

 人口は約1,340万人(2008年人口センサス)で、1平方キロメートル当たりの人口密度は75人(日本は336人)と少なく、国民の80%以上が農村に居住している農業国です。しかも国民の半分以上が25歳未満と、若くて活力にあふれた国でもあります。

(3)低い農業生産性

 カンボジアの農業人口は全労働力の60%(2008年)で、GDPの約34%を産出しています。但し、他国に比べると農業生産性はいまだ低いのが問題点です。しかし、灌漑による適切な水管理と良質な種子の供給・営農指導や道路インフラの整備、輸出仕様化のための資金供給などを加速することによって、生産性はまだまだ向上するものと思われます。カンボジアを訪問する際に、(飛行機で)プノンペンシェムリアップに到着する直前に(飛行機の)窓(上空)からカンボジアの土地をみてみると、この国では水の確保さえ効率化すれば農業用地は急激に増えるだろうことが実感できます。

 近年は、中国、韓国、ヨルダン、イスラエルなどが自国の食糧安定確保を目指してカンボジアの農業分野へ積極的に投資しています。2009年のカンボジア経済は、世界経済危機の影響を受けて欧米向けアパレル製品輸出に急ブレーキがかかり、IMF、世銀、アジア開銀なども最悪マイナス2.5%のGDPを予想していたのですが、結果的にはプラス0.1%とわずかですが、水面上へ浮上したようです。政府による灌漑設備拡充への地道な取り組みなどが奏功して、農業分野の順調な拡大がアパレル輸出急落を補ってカンボジア経済を下支えしたわけです。

●引用終了

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将来、農産物の価格が上昇した場合、カンボジアのような農業国は非常に有望な投資先になると思います。
ブラジルのように、大規模農場の経営で成功する人もたくさん現れるでしょう。
個人的にも、今後、重点的に調べて、関わって行きたい国であり、地域です。