重要な視点なので、以下に全文を引用します。
●引用開始
内閣府が先般発表した2009年第3四半期の民間企業資本ストック(進ちょくベース、前年比)は、統計開始以来初めて減少した。設備投資が大幅に落ち込んだことが背景だが、資本ストックの伸び率は1990年をピークに一貫して下落傾向をたどっている。今回のマイナス成長は、一過性というよりトレンドの延長という性格が強い。
資本ストックの伸び率の趨勢的な低下は、日本経済の先行きにとって懸念すべき事象だ。潜在成長率は、労働、資本、生産性で決定されるが、日本の場合、労働人口は移民を急増させない限り今後減少する。資本ストックも減少トレンド入りとすると、生産性を大幅に押し上げない限り日本の潜在成長率はマイナスということになる。
一方、企業全体で見ると、海外での投資を活発化させているので、将来は海外の投資収益で日本経済が成り立つという見方もあるが、国内では雇用が維持されず失業率が上昇する。配当所得を得る層との所得格差も拡大しよう。雇用を維持するためにも国内に一定の投資は必要だ。
国内の投資機会が減少しつつあるのは政策の貧困に他ならない。時代が急速に変化しつつあるのに政策が追いついていないので、企業は海外に投資機会を求めざるを得ない。このままでは、企業の海外脱出という最悪の事態もあながち否定できない。
現在のデフレはマネーが不足しているために起きているのではない。企業の投資機会の減少が需要不足として顕在化し、個人も将来が不安で支出に積極的になれないという合理的な選択の結果だ。
企業の期待投資収益率を高めない限り金利の上昇は望みがたく、年金生活者が頼みとする預金金利の上昇もない。政府は法人税減税と規制緩和を一段と推し進め、企業活力の向上に努めないとデフレ下での縮小均衡というワナからいつまでも脱出できないことになる。(日本経済新聞より)
●引用終了
多くの人は取り上げていませんが、私も資本ストックの減少は深刻な問題だと思います。