検証システム 第16回 移動平均金利の計算


今回は、金利移動平均について、説明します。

1.移動平均を求める理由

毎日の金利の変動要素の中には、突発的な災害や事件など、景気循環とは無関係の短期的な要素が含まれます。

従って、1日から数日間、逆イールドを検知したとしても、それをノイズとして排除しなければならない場合があります。

このようなノイズを除去するために、毎日、過去数十日分の金利移動平均を求めて、その値でイールドカーブの分析をすることにします。

 注)Estrellaも、「金利の90日移動平均が最も良いデータを提供してくれる。」と述べています。

さらに、金利移動平均を求めることによって、短期的な金利の変化速度を求めることも可能となり、ノーズダイブの検出にも応用できると思っています。

2.移動平均の計算方法

●Excel
データ量が少なければ、Excelの関数で簡単に移動平均を求められますが、金利データの量は1万件以上と大きいために、物理的に、Excelの利用は困難でした。

●Access
Aceessで、SQLやVBを使ってプログラムを組む事も、考えられますが、汎用性や拡張性に欠ける為に、あまり良い方法とは思えず、途中で放棄しました。

金利データベースシステム構築
最も手間がかかりますが、サーバーに本格的な金利データベースを構築して、Javaなどの汎用言語でプログラムを組む事によって、大量データに耐えられ、拡張性にすぐれたシステムが構築できると思い、今回、着手しました。

3.金利データベースシステムの構築

金利データベースシステムの構成要素は以下のとおりです。
●サーバーOS・・・Linux
●データベース・・・PostgreSQL
●言語・・・Java-Servlet

データベースには以下のテーブルが含まれます。
●イールドインポートテーブル
 FRBのサイトからダウンロードしてきた金利のCSVデータを直接、コマンドで格納する先のテーブル。
 3ヶ月、10年など満期の期間毎に用意します。
●イールドテーブル
 イールドインポートテーブルからプログラムで編集して格納する先の汎用テーブル。
 キーは、満期期間と取引日です。
 全ての金利データがここに統合されます。
移動平均テーブル
 イールドテーブルから金利移動平均を算出して、格納する先のテーブル。
 45日移動平均や90日移動平均などの複数の移動平均を統合して管理します。
 キーは、移動平均日数、満期期間と取引日です。

これらのシステムの操作は、Webでブラウザ上から行えるようにします。

4.金利データベースシステムの利用方法

上で構築した金利データベースシステムは、Webブラウザからだけではなく、外部リンクによって、Accessからも利用できるようにします。

次回は、金利データベースシステムの画面操作について説明します。