米金融緩和が醸成するバブル

少し前になりますが、1月13日の日経夕刊の十字路で、JPモルガン証券の菅野雅明さんが、米国の低金利政策と次のバブル発生の可能性について、考え方を述べていました。
以下に全文を引用します。

●引用開始

 米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は先日の講演で「米国の住宅バブルの原因は不適切な規制であり、緩和的な金融政策ではない」と語った。一般化すれば「資産バブルには金融政策ではなく規制で対応すべきだ」ということになる。一方、「金融政策で資産バブルの膨張を抑制すべし」との意見も根強く、金融政策の役割については中央銀行の間でも見方が分かれている。

 バーナンキ議長の講演が示唆するのは、利上げに対するFRBの慎重な姿勢だ。実際、FRBが長期間にわたり低金利政策を続けても、米国の株価や不動産価格が急騰するリスクは小さい。

 しかし、米国の緩和的な金融政策が新たな資産バブルを起こす可能性は否定できない。国際化や証券化に伴うクレジットバブルの発生は、金融工学の発達に規制が追いつかない結果でもあった。確かに金融政策は主犯ではないせよ共犯者ではあった。資産バブルの主役は毎回変わる。次のバブルを予測することは至難の業だが、あえていえば、エマージング経済の資産バブルと日本の国債バブルがその候補ではないだろうか。

 エマージング経済では、米国の低金利政策を反映したドル安に対して自国通貨高を抑制すべく介入する結果、マネーサプライが増加し、資産価格は上昇する。日本でも、ドル安・円高が進む下で日銀が一段と緩和的な政策を行うと国債利回りが低下する。この結果、財政規律が失われやすくなり財政赤字が続く一方、国債利回りはリスクプレミアムが充分に反映されず低水準で推移し、国債バブルはさらに膨張する。

 米国は「これはエマージング諸国の介入政策や日本の財政政策の結果であり、FRBの責任ではない」というだろうが、世界的なバブルが醸成されていることに変りはない。バブルの生成と崩壊は今後も繰り返されると考えておいた方が良いだろう。

●引用終了

金融工学の発達に規制が追いつかないという点は、少し疑問がありますが、他の部分については、私も同じ考えです。
日本国債が既にバブルになっているかどうかは、分かりませんが、これは、日銀が国債引き受けを拡大したときに、決定的になると思っています。