検証システム 第11回 景気の底と株価のボトムの関係性

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今回は、前回とは逆に、景気の底と株価のボトムの関係を分析してみます。


NBERの公式認定では、1950年代以降の米国の景気の底は、以下の9回です。

1954年5月
1958年4月
1961年2月
1970年11月
1975年3月
1980年7月
1982年11月
1991年3月
2001年11月

図1 株価指数のボトムを抽出するクエリの作成

まず、上記の最初の景気の底(1954年5月)に対応する株価のボトムを抽出するクエリを作成します。

【手順】
1.S&P500テーブルを選択
2.取引日をドロップ
3.取引日の範囲に、景気の底の1年前から2年後の日付(1953年5月1日~1956年5月1日)を入力
  >#1953/05/01# And <#1956/05/01#
4.指数をドロップ
5.最小の指数を先頭に表示させるために、指数の並び替えを、昇順に設定

図2 クエリによる株価指数の最小値表示

上記のクエリを『S&P500_1954_05Through』という名前を付けて、保存します。
このクエリを開くと、一行目にこの範囲での最小の株価指数が表示されます。

1953年9月14日の22.71が、1954年5月の景気の底に対応する株価のボトムとなります。

図3 全ての株価ボトム抽出クエリの作成

上の手順と同様に、全ての景気の底に対応する株価ボトム抽出クエリを作成して、株価のボトムを求めます。

【結果】
景気の底→株価のボトム(月数の差)として表示すると、以下のようになります。

1954年5月→1953年9月(-8)
1958年4月→1957年10月(-6)
1961年2月→1960年10月(-4)
1970年11月→1970年5月(-5)
1975年3月→1974年10月(-5)
1980年7月→1980年3月(-4)
1982年11月→1982年8月(-3)
1991年3月→1990年10月(-4)
2001年11月→2001年10月(-1)

上の結果から以下のように、分析できます。
・株価は、景気の底に先行して、ボトムを付けている。
・ボトムを付ける時期は、8ヶ月前から1ヶ月前と、3Q以内の狭い範囲にまとまっている。
・株価のボトムをいつ認識できるかによるが、例えば、3Q後に認識した時には、既に、景気後退を脱している可能性が高い。

株価のボトムは、殆どの場合、景気の底に、先行するので、先行指標として使えそうです。
今回も、2009年3月に株価がボトムを付けて、7月頃に景気後退を脱したと言われています。

しかし、先行期間が短いために、認識の遅れが発生してしまう可能性があると思います。

次回は、これまでの逆イールドと景気、株価の関係について、一旦、まとめてみます。