遺伝子組み替え作物の普及が、農薬使用量の増加をもたらしている

米国で遺伝子組み替え作物の普及と、農薬の使用量の増加を関連付ける研究報告が公表され、話題となっています。



遺伝子組み換えで、殺虫毒素をつくる微生物の遺伝子を組み込んだり、特定の除草剤を無効にする遺伝子を組み込んだ大豆やコーンなどが米国で普及しています。

例えば、米国のモンサント社は、同社のラウンドアップなどの特定の除草剤を無効化した作物の種子を製造・販売しています。
同社は、「この作物では、畑一面にその除草剤を撒いても、作物は枯れずに雑草だけ枯れ、その結果、農薬の手間が省け、散布回数、散布量が減らせる。」と宣伝してきました。

しかし、米農務省(USDA)のデータに基づいて、上記の報告書を書いたチャールズ・ベンブルック博士は、「除草剤耐性」(HT)の遺伝子組み替え作物に使われる農薬使用の増加と、除草剤に抵抗力を持つ雑草の出現と蔓延とを関連付ける有力な証拠を提示しています。

すなわち、「除草剤耐性」(HT)の遺伝子組み替え作物の普及によって、農家は、雑草の種類に応じて、複数の農薬を適時に散布する複雑な管理方法を行わなくなりました。
その代わりに、農薬を一度に大量に散布するようになった結果、除草剤に耐性を持つ雑草が出現して、蔓延することになりました。

遺伝子組み替え種子の価格上昇と、農薬の使用量増加によるコストの上昇の結果、利益が減少している農家は、モンサントなどに対する批判を強めています。

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遺伝子組み替え作物が普及していない日本でも、除草剤耐性の雑草の被害は、増えています。
やはり、農薬の大量使用は、どの国でも非常に深刻な結果をもたらすようです。

遺伝子組み替え作物は、モンサントなどの利益を増やしても、農家の利益や、農作物の収量自体を増やすことは無いと思います。