未開発油田(北極海、ブラジル沖、イラクなど)の現状分析

先日の記事にあったように、TODのAce氏が、現在、有望視されている北極海やブラジル沖などの未開発油田について、分析しています。
ただし、結論としては、世界の原油生産のピークを遅らせるほどの影響は無いだろうとのことです。

http://www.theoildrum.com/node/5395 World Oil Production Forecast - Update May 2009

1.北極海
 埋蔵量は、40から50ギガバレル。ただし、原油は少なく、その多くは天然ガス
 将来的には、世界の原油天然ガス生産の3%を占める可能性が有るが、日量300万バレルが限界である。
 現在の生産量で言うと、メキシコと同程度の産油国が加わった程度で、世界の原油生産量を維持する力は無い。

2.米国の環境保護領域
 米国がアラスカやメキシコ湾沖などの原油採掘を禁止している領域の環境保護を解除して、石油の開発を行った場合、日量110万バレルから200万バレルの増産が可能。
 ただし、世界の原油生産のピークを遅らせる事は不可能。

3.カナダ
 埋蔵量は、180ギガバレル。ただし、そのうち、173ギガバレルはオイルサンドの為、開発は容易では無い。
 2020年には、日量400万バレルの生産が可能だが、オイルサンドの生産は、日量250万バレル
が限界という説も有る。
 米国と同様に、世界の原油生産のピークを遅らせる事は不可能。

4.ブラジル沖
 テュピ油田のピークは、2022年の日量100万バレル。2012年以降の世界の原油生産に与える影響は、無視できるほど小さい。

5.イラク
 埋蔵量が豊富で、もし、十分な投資が有れば、2020年までに、日量800万バレルを達成することが可能。
 しかし、この前提条件である、テロの沈静化と石油資源管理の法制化の目処がまったく立っていないので、十分な投資は行われないだろう。
 Ace氏の見積もりでは、2012年に日量270万バレルでピークアウトする。