中国の石油政策

2003年以降の中国の原油生産量と需要は以下のとおりに推移しています。

年 生産量 需要
2002 339 490
2003 341 540
2004 349 640
2005 361 670
2006 369 720
生産量:EIA統計データ
需要:IEA統計データ
単位は、万バレル/日。

このように、生産量の拡大ペース(10万バレル/日)に比べて、需要の拡大がその数倍と大きく上回り、その差分である原油の輸入量は年々増加しています。

中国の原油の需要には、現時点の高度経済成長による実需要のみならず、将来の石油危機に備えた備蓄用原油の需要も含まれています。
中国は、貿易黒字で蓄積した巨額の外貨準備があるために、一括して大量の原油を購入することが可能です。例えば、今年の1月に原油価格が1バレル50ドルを切った段階で、大量の備蓄用の原油を買い付けています。

一方、中国政府は国内油田の資源探査を積極的に行ない、未稼動の油田を多数保持しています。これは、国内油田を将来の原油価格の高騰に備えて確保するという政策目的が背景にあると考えられます。

==引用開始==
中国石油天然ガス渤海湾で今世紀最大規模の油田を発見
5月4日15時17分配信 ロイター
[香港 3日 ロイター] 中国石油天然ガス(ペトロチャイナ) <0857> の親会社、中国石油天然ガス集団(CNPC)は3日、ペトロチャイナが中国の渤海湾で確認埋蔵量約30億バレルに達する油田を発見したと明らかにした。これは、今世紀に入って発見された油田としては世界で最大規模となる。
 業界アナリストは、実際に生産できる量はおそらくこの4分の1程度になると見ているが、それでも世界第2位の石油消費国である中国にとって大きな意味を持つと見られている。
 同油田の名称は「冀東南堡油田」。
==引用終了==

今後も、中国は、潤沢な外貨準備を活用して、実需用の原油輸入を確保し、原油価格が下落した段階では、備蓄用の原油を大量購入して、原油価格を下支えするものと思われます。また、将来の原油価格高騰に備えて国内外の油田開発を積極的に行うことは、間違いありません。