前回は、1951年から1961年までに、米国債の逆イールドが発生しなかった理由を探ってみました。
これまでに述べてきたように、米国債イールドカーブは、1970年代以降、7度の景気後退を全て正確に予測してきました。現時点では、米国の景気後退の先行指標として、最も高い精度の指標の一つであると言えます。
しかし、その一方で、1930年代から1960年代に発生した、6度の景気後退の一度も、予測を出来ませんでした。また、1966年には、景気後退入りを予測しましたが、その後、景気後退に陥ることはありませんでした。このように、1930年代から1960年代にかけて、米国債イールドカーブは、景気後退の先行指標として、全く機能していませんでした。
この時期に、先行指標として機能しなかった理由をまとめると、以下のようになります。
1.金利を人為的に固定化する政策
2.強引な金融引き締め政策
第二次世界大戦後の高インフレを克服するために、強引ともいえる、金融引き締め政策が実施されたため、1951年から1961年の間、逆イールドが出現しなかった。
3.突発的で大規模な財政支出
1966年に逆イールドが出現し、景気後退を予測したが、その後、ベトナム戦争の拡大により、軍事費の支出が急増し、景気後退が回避されてしまった。