その後、株価指数は、さらに、上昇して、景気後退入りの3ヶ月前の2007年10月に、ピークアウトしています。
例えば、グラフ上の、Yの文字の位置(2008年3月)には、株価指数のピークから約17%の下落となり十分に下落していますが、この時点では、既に米国は景気後退入りしていました。
また、グラフ上のAやBの時点のように、株価が大きく下落していても、景気後退とは無関係な場合もあります。
このように、株価を景気後退の先行指標として利用すると、確認するタイミングが遅れたり、誤って景気後退を予測してしまうリスクが高くなるため、実務上、難しいと言えます。
それに対して、逆イールドの検出は、判断基準の曖昧さがなく、景気後退の1から数四半期前、即ち、株価がピークアウトする前に、確認出来るため、投資実務上も優れた先行指標と言えます。
ここで、2006年3月における、逆イールドを使った株式投資のパフォーマンスを機会損失と損失回避の差として、算出すると以下のようになります。
機会損失・・・景気後退入り前の最高値である2007年10月の1549.4ポイントまで、保有しなかったことによる利益機会の損失。
(1549.4 - 1294.9) ÷ 1294.9 × 100% = 19.6
損失回避・・・景気後退入り後の最低値である2009年3月の797.9ポイントまで保有しなかったことによる損失の回避。
(797.9 - 1294.9) ÷ 1294.9 × 100% × (-1) = 38.3
投資パフォーマンス = 損失回避 - 機会損失 = 18.7
次回は、米国の景気後退の先行指標として、イールドカーブとともに、重要な住宅関連指標について、述べることにします。