南アフリカの最新の鉱業事情

JOGMECが、南アフリカの最新の鉱業事情について、レポートしています。


1. 南アの政治・経済
1-1. Zuma大統領への支持は低下傾向であるがANC支持に大きな変化はみられない
1-2. ANC内部ではANCYLが火種
1-3. 統一地方選で野党民主同盟が躍進

2.ストライキ
2-1.頻発するストライキ
2-2. ストライキの背景

3. 鉱業憲章
3-1. 鉱工業業界の見通しは暗雲
3-2. 鉱業憲章の改定、付加価値化
3-3. 南アBEE権益譲渡の現状

3-4. 鉱業憲章目標未達に関する議論
3-5. 鉱業権手続きの不手際
3-6. Black Eliteの存在
3-7. 新ロイヤルティ

4. 鉱山国有化の問題
4-1. ANCにおける議論
4-2. 鉱業界の反応
4-3. 国営鉱山会社AEMFCの動向
4-4. 南ア鉱山国有化の議論と海外投資

まとめ

南アフリカではマンデラ政権発足以来、富の分配を行うため黒人の経済活動への参加を促す政策を実施しているが、未だ十分な成果が出たとは言えない。ANCに課せられたこの命題は、これまで不利益を被ってきた黒人庶民からの新たな強い期待を背負って2009年に発足したZuma政権に引き継がれたものの、2年を経過した現在も改善が見出せていないのが現状である。このような状況下、多くの国民は豊かさを感じられず、その不満は強烈なストライキやANC政権内での鉱山の国有化の議論として顕在化している。

・鉱業界では、鉱業憲章をガイドラインに黒人の経済活動への参加促進が取り組まれてきたが、中間点である2009年時点の目標達成率に関する評価では政府と産業界の間で大きな食い違いがみられ、双方が納得できるような成果には達していないということが伺える。また、この富の再分配の過程でBlack Elite(ブラックエリート)という問題が発生したが、これも現在、改善されておらず、国民の不満はつのる一方である。さらに、かつて白人経済のみに対応し施設された国内インフラは、台頭する黒人中産階級の新たなニーズに対応できず、電力や輸送能力不足を発生させている。

・一方、鉱業界では、鉱業権発給手続きにおける行政側の不手際や不正問題も起きている。このような状況で、海外からの南アへの投資、特に鉱山関係への投資に対しての懸念が広がっている。