商品循環 第22回 1980年の商品投資シミュレーション

【直近の履歴】
第21回 商品と株価の価格変化率の傾向
第20回 1920年の株価を推定し、商品価格と比較する
第19回 商品と株式の価格変化率の長期比較

1.前回のまとめ

前回の分析の結果をまとめると以下の二点に集約されます。

・商品の強気相場において、商品の価格上昇率が株式を上回り、その反対に、商品の弱気相場においては、株式の価格上昇率が商品を上回る。

・近年になるに従って、商品と株式の価格上昇率の乖離(振れ幅)が大きくなっている。

今回は、上の結果が、実際の投資でも当てはまるかどうかを、1980年における投資シミュレーションを行って確認してみます。

2.商品投資のシミュレート

商品投資の方は、1980年の強気相場で、CRB商品指数に連動するETFを売買した場合を想定します。

【前提条件】

・購入年月・・・1973年7月。1973年6月のPPIで商品循環のボトムを確認。第17回を参照
・売却年月・・・1980年4月。1980年3月のPPIで商品循環のピークを確認。第8回を参照
・購入時のCRB指数・・・194.45(=1973年7月の最大値210.5と最小値178.4の平均)
・売却時のCRB指数・・・260.25(=1980年4月の最大値264.2と最小値256.3の平均)
・信託報酬・・・年率0.35%:リクソー(Lyxor) ETF コモディティーズ CRB
・税率・・・20%

【結果】
・CRB指数上昇率:33.84%
・税引き前利益・・・58.64
・税引き後利益・・・46.91
・利益率・・・24.12%
・単利年利・・・3.57%
・実質年利・・・3.25%

3.株式投資のシミュレート

実際の株式投資では、景気循環に沿って、S&P500指数の売買を行います。
以前、当ブログで行ったイールドカーブを用いたシミュレーションの結果は、以下のとおりです。

【前提条件】
・開始年月・・・1973年7月23日のS&P500指数空売りETFの購入
・終了年月・・・1980年12月19日のS&P500指数連動ETFの売却
・開始時のS&P500指数・・・102.48
・開始時の資金残高・・・145.51
・終了時のS&P500指数・・・132.43
・終了時の資金残高・・・419.64
詳細は、検証システム 第45回 長期40年シミュレーション CPIトレンドの判定を参照してください。

【結果】
・S&P500指数上昇率:29.23%
・利益率・・・188.39%
・単利年利・・・25.69%
・実質年利・・・15.54%

4.シミュレーション結果

前回の結果とは逆に、1980年における商品の強気相場でも、株式投資の方が、パフォーマンスで商品投資を上回りました。
【実質年率の比較】
商品投資(3.25%) < 株式投資(15.54%)

次回は、この結果をさらに深く分析したいと思います。