検証システム 第33回 ノーズダイブと景気・株価の底との関係


今回は、前回、決定したノーズダイブ検知日と、景気の底との関係を調べてみます。
ただし、その前に、ノーズタイブの定義を以下のように変更します。

1.ノーズタイブの定義

今回、ノーズタイブの定義を以下のように変更しました。

(変更前)
「米国経済の景気後退入りの直前から景気後退期間中において、米国債の3ヶ月債の金利が長期的な下落トレンドに入り、その中で、最も、低い金利に到達した日をノーズタイブと呼ぶ。」
  ↓
(変更後)
「米国経済の景気後退入りの直前から景気後退期間中において、米国債の3ヶ月債の金利が長期的な下落トレンドに入り、その中で、最も、日次金利がトレンドから乖離した日をノーズタイブと呼ぶ。」

変更前のように、下落トレンドの中で、最も日次金利が低い日を選ぶと、周期的な摂動によって、長期金利も低下している場合が多いので、イールドカーブの形が、短期金利が沈み込んだノーズタイブの形になりませんでした。

最も、日次金利がトレンドから乖離した日のイールドカーブの形が、ノーズタイブの形に近かったので、上のように定義を変更しました。

2.ノーズタイブと景気の底

前回、求めたノーズタイブ検出日と、それに対応する景気の底を比較して、月数差を求めます。

ノーズダイブ検出日→景気の底→月数差
1970年3月24日→1970年11月→+8ヶ月
1973年9月27日→1975年3月→+18ヶ月
1979年6月25日→1980年7月→+13ヶ月
1981年11月18日→1982年11月→+12ヶ月
1989年9月15日→1991年3月→+18ヶ月
2001年11月7日→2001年11月→0ヶ月
2008年3月19日→2009年7月(※)→+16ヶ月


直近の景気後退に関しては、未だ、NBERが景気の底を決定していませんので、最も、多くのエコノミストの意見である2009年7月を景気の底としました。

上のように、ノーズダイブを検出してから、景気の底に到達するまでに、最短で0ヶ月、最長で、18ヶ月の月数差があります。

従って、「ノーズダイブを検出した日から、6Q以内に、景気の底に到達する。」と言えます。

しかし、正確な景気の底をノーズダイブから予測することは、今のところ難しいようです。

3.ノーズタイブと株価の底

同様に、ノーズタイブ検出日と、それに対応する株価の底を比較して、月数差を求めます。

ノーズダイブ検出日→株価の底→月数差
1970年3月24日→1970年5月26日→+2ヶ月
1973年9月27日→1974年10月3日→+12ヶ月
1979年6月25日→1980年3月27日→+9ヶ月
1981年11月18日→1982年8月12日→+9ヶ月
1989年9月15日→1990年10月11日→+13ヶ月
2001年11月7日→2002年10月9日→+11ヶ月
2008年3月19日→2009年3月9日→+12ヶ月

上のように、ノーズダイブを検出してから、株価の底に到達するまでに、最短で2ヶ月、最長で、13ヶ月の月数差があります。

また、2ヶ月という短い月数差だったのは、1970年のみでした。
もし、1970年を、ノイズとして、除外できると、月数差は、9~13ヶ月という非常に狭い範囲に限定されます。

これは、これまで経験的に利用してきた「ノーズタイブを検知してから一年後に株価が底を打つ。」という法則と一致します。

次回は、過去の株価とノーズタイブの関係をさらに詳しく検証して、上の経験則が一般化できるかどうか、調べてみます。