検証システム 第10回 景気の山と株価のピークの関係性

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今回は、前回、ダウンロードした株価指数データ(S&P500)を使って、景気の山と株価のピークの関係を分析してみます。


米国で、最も権威のある無党派の民間研究組織であるNBERの公式認定では、1950年代以降の米国の景気の山は、以下の10回です。

1953年7月
1957年8月
1960年4月
1969年12月
1973年11月
1980年1月
1981年7月
1990年7月
2001年3月
2007年12月

図1 株価指数のピークを抽出するクエリの作成

まず、上記の最初の景気の山(1953年7月)に対応する株価のピークを抽出するクエリを作成します。

【手順】
1.S&P500テーブルを選択
2.取引日をドロップ
3.取引日の範囲に、景気の山の2年前から1年後の日付(1951年7月1日~1954年7月1日)を入力
  >#1951/07/01# And <#1954/07/01#
4.指数をドロップ
5.最大の指数を先頭に表示させるために、指数の並び替えを、降順に設定

図2 クエリによる株価指数の最大値表示

上記のクエリを『S&P500_1953peak』という名前を付けて、保存します。
このクエリを開くと、一行目にこの範囲での最大の株価指数が表示されます。

1954年6月29日の29.43が、1953年7月の景気の山に対応する株価のピークとなります。

図3 全ての株価ピーク抽出クエリの作成

上の手順と同様に、全ての景気の山に対応する株価ピーク抽出クエリを作成して、株価のピークを求めます。

【結果】
景気の山→株価のピーク(月数の差)として表示すると、以下のようになります。

1953年7月→1954年6月(+11)
1957年8月→1956年8月(-12)
1960年4月→1961年3月(+11)
1969年12月→1968年11月(-13)
1973年11月→1973年1月(-10)
1980年1月→1979年10月(-3)
1981年7月→1980年11月(-8)
1990年7月→1991年4月(+9)
2001年3月→2000年3月(-12)
2007年12月→2007年10月(-2)

上の結果から以下のように、分析できます。
・株価は、7割の確率で、景気の山に先行して、ピークアウトしている。
・ピークアウトの時期は、13ヶ月前から2ヶ月前と、まちまち、である。
・従って、株価のピークアウトを一年後に認識した時には、既に、景気後退に陥っている可能性が高い。
・もし、景気後退の前に、株価のピークアウトを認識しても、景気の山が何時になるかを予測することは、難しい。
・また、株価は、3割の確率で、景気の山に遅れて、ピークアウトしている。
・この時には、先行指標としての価値は無い。

結論としては、景気の山の4Q~5Q前に現れる逆イールドと比べて、株価は景気の山の先行指標として有効性が低いと言えます。

次回は、株価と景気の底の関係性について、調べてみます。