レアメタル資源の偏在性と供給不足の懸念

経済産業省が7月28日に公表した「レアメタル確保戦略」に、レアメタル資源の産出国別の偏在性のデータがありました。

興味深いデータなので、下にまとめてみました。

レアアース・・・①中国97%②インド2%③ブラジル0.5%【99%】
バナジウム・・・①南アフリカ38%②中国33%③ロシア27%【98%】
タングステン・・・①中国75%②ロシア6%③カナダ5%【86%】
白金・・・①南アフリカ77%②ロシア13%③カナダ4%【94%】
インジウム※・・・①中国58%②日本11%③カナダ9%【78%】
モリブデン・・・①米国29%②中国28%③チリ21%【78%】
コバルト・・・①コンゴ民45%②カナダ12%③ザンビア11%【68%】
マンガン・・・①南アフリカ21%②中国20%③豪州16%【57%】
ニッケル・・・①ロシア17%②カナダ16%③インドネシア13%【46%】
銅・・・①チリ36%②米国8%③ペルー8%【52%】
亜鉛・・・①中国28%②豪州13%③ペルー13%【54%】
鉛・・・①中国41%②豪州15%③米国12%【68%】

データは2008年の資源(鉱石)の上位産出国とその割合です。
【】内の数値は、上位3ヶ国の占有率です。
インジウムは、地金ベースです。

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全体的に、中国、南アフリカ、ロシアが上位を占めるレアメタルが多いことに気が付きます。
また、レアアースバナジウムタングステン、白金は、これらの国を含む上位3ヶ国が、9割前後の圧倒的な占有率を持っていることが分かります。
特に、中国が97%を産出しているレアアースの偏在性は、注目されます。

このレアアースの一種で、最近、特に注目を集めているのが、ハイブリッド車に搭載される電気モーター用の軽量磁石に使われるネオジムです。
例えば、トヨタプリウスの電気モーターには1台当たり1キロのネオジムが使われています。
今後、中国でハイブリッド車が普及すると、中国政府は、97%の資源占有率を利用して、国内消費を優先し輸出を制限することが充分に考えられます。

ロイターがレアメタルの供給不足の懸念を伝えていました。
人気のハイブリッド車、懸念されるレアメタル不足