サウジアラビアの油田開発状況

サウジアラビアの研究機関「国家安全保障評価計画」(The National Security Assessment Project)の所長であるオバイド氏は、Khursaniyah(AFK)油田を半年繰り上げて2007年6月から稼動すると述べています。(2006年11月の発言)

現在、サウジで急増している石油掘削用リグは、このKhursaniyah(AFK)油田開発用のものと考えられます。

昨年、年央のHarada3油田(日量30万バレル)の生産開始によって、一時的に原油生産量が約100万バレル回復しましたが、今年も6月に日量50万バレルのAFK油田の生産量が開始された場合、年央にサウジの原油生産量が一時的に回復するものと思われます。
しかし、昨年の原油生産量が回復が3ヶ月程で再び減少に転じたように、今年も、一時的な回復に過ぎず、年間を通しての原油生産量は7%程度の減少となるものと思われます。

オバイド氏は、また、2009年の1月に稼動予定だったShaybah油田の拡大を2008年の4月か5月に前倒しすることも述べました。
これらのオバイド氏の公表資料と発言に基づいて、現在、計画中のサウジアラビアの油田開発プロジェクトを一覧すると、いくつかの深刻な問題の存在が明らかになります。

稼動予定 名称 日量(万バレル) 油種
2007/6 AFK 50 Arab Light
2008/4 Shaybah 30 Arab Extra Light
2009/2 Nuayyim 10 Arab Super Light
2009/3 Khoreis 120 Arab Light
2010  Shaybah 20 Arab Extra Light
2010  Neutral Zone 30 Arab Heavy
2011  Munifa 90 Arab Heavy

(2008年) Shaybahの30万バレルのみが追加されるので、既存油田の減少量(50万バレル以上)を補えません。
(2009年) KhoreisとNuayyimの合計130万バレルの追加で、一旦、生産量が回復するものと思われます。
(2010年) ShaybahとNeutral Zoneの50万バレルのみで、再び、減少に転じると思われます。しかも、Neutral Zoneの油種は需要の少ない重質油です。
(2011年) Munifaの90万バレルが追加予定ですが、これも、重質油であるため、本当に需要があるかどうかは不明です。

2007年の原油価格については、昨年と同様に、夏場のドライブシーズンとハリケーンシーズンに70ドルを超えて急騰した後、サウジの生産量の回復によって、年末に向かって下落するものと思われます。