米30年国債の魅力が低下

米30年国債の魅力に陰り、景気再加速の観測などで悲観的予想が増加

  2月4日(ブルームバーグ):米30年国債はこれまで、あらゆる面で魅力がとても高かった。昨年6月以降の投資収益率は16%と、米国の短期、中期、長期のすべての国債のなかで最高だった。需要の強さを反映し、先月には利回りが定例入札の始まった1977年以来の低水準を記録した。

こうした状況で、30年国債を買えば確実に損が出ると予想する投資家が増えている。連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げや、米国債が引き続きサブプライムローン(信用力の低い個人向けの住宅融資)問題や景気減速を回避する投資先であるにもかかわらず、相場下落を予想しているのだ。

30年国債の魅力を低下させる要因としては、拡大する米財政赤字や最大 1570億ドル規模の景気刺激策、そして年末にかけてインフレや経済成長が再加速する可能性があることが挙げられる。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト51人を対象にまとめた予想(中央値)によると、30年国債の利回りは2月1日の4.31%から、来年1月までに4.70%に上昇するとみられている。

ユナイテッド・ネーションズ・フェデラル・クレジット・ユニオンの最高投資責任者(CIO)であるクリストファー・サリバン氏は、30年国債投資に伴う損失は「痛烈かつ深刻」になる恐れがあると指摘。これまで相場を支えてきた「サブプライムや銀行の評価損、銀行の業績低迷、企業利益の落ち込みなどの問題が、快方に向かうこと」を理由に挙げた。

ライデックス・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、アン・ラフ氏は「利下げや景気刺激策が効果を表し、景気が安定または再加速し始めれば、長期金利の上昇傾向を目にするだろう」との見通しを示した。

先週の30年国債(表面利率5%、2037年5月償還)の利回りは前週末比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.31%

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=aCkXu9Ldn9Ck&refer=jp_japan