投資観 第19回 1988年~1991年の米国債イールドカーブ(既発債ベース)

前回は、1998年~2003年の3ヶ月既発債ベースの米国債イールドカーブを、新発債との利回り差を調整して、調べました。

今回は、さらに、時代を遡って、1988年~1991年の3ヶ月既発債ベースの米国債イールドカーブを調べてみます。

以下のグラフは、1988年~1991年の3ヶ月既発債ベースの調整前イールドカーブです。
注)このグラフでは、3ヶ月既発債の利回りをそのまま適用しており、新発債利回りにベースを合わせるための調整を行っていません。

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上のように、この時期に、逆イールドが発生していないことから、調整前イールドカーブでは、景気後退を予測出来なかったことになります。

ここで、この時期の3ヶ月既発債の利回りの推移を見てみることにします。
以下のグラフは、1988年1月4日を起点として、その後の景気後退入りの直前の1990年7月31日までの3ヶ月既発債の利回りの推移です。点線は、この期間での利回りの平均値です。


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上のように、この期間での3ヶ月既発債の利回りの平均値は、約7.5%と比較的に高かったことが分かります。


下のグラフは、1982年1月4日から2015年11月19日までの、3ヶ月物の新発債と既発債の利回り差の分布です。横軸が3ヶ月既発債の利回りで、縦軸が、新発債との利回り差です。

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1988年1月4日~1990年7月31日の既発債の利回りの平均値である7.5%に対する利回り差をこのグラフから読み取ると、約0.25%であることが分かります。
即ち、この期間では、3ヶ月既発債の利回りよりも、3ヶ月新発債の利回りの方が、平均して、約0.25%高かったと言えます。

下のグラフは、最初の1988年~1991年の3ヶ月既発債ベースの米国債イールドカーブベースを、0.25%下方に調整した後のイールドカーブです。

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上のように、1989年の8月から10月にかけて、逆イールドが発生しており、1年後の1990年8月からの米国の景気後退を予測しています。

このように、3ヶ月既発債の利回りを調整して、新発債にベースを合わせたイールドカーブを作ることによって、調整前のイールドカーブでは出来なかった、景気後退の予測が可能となったわけです。

次回は、さらに、時代を遡って、1980年代前半の既発債ベースの米国債イールドカーブを調べることにします。