投資観 第11回 1990年~2008年の米国の景気後退終了とCABとの関係

前回は、1991年の日本の景気後退と、米国債イールドカーブ(逆イールド)との関係について述べました。

今回は、過去三回(1990年~2008年)の米国の景気後退の終了と、CAB(Chemical Acitivity Barometer:化学活動バロメータ)との関係について述べます。

CABとは、米国化学評議会(American Chemistry Council)が、米国の化学工業界の景況感を指数化して毎月、公表しているもので、1919年から始まり、96年の歴史があります。

一般的には、鉱工業生産指数の先行指標として知られていますが、景気後退との関係を調べると、景気後退の終了に一致あるいは数か月先行して底入れする特徴があります。

下のグラフは、1919年からのCABの三か月移動平均の推移です。大半の景気後退時に、CABの落ち込みが見られます。

イメージ 1


下のグラフは、1988年1月から1991年12月までのCABの3ヶ月移動平均の推移です。
1991年2月の景気後退(S&L危機の時期)と同時に、CABが底入れしています。
底入れの確認は、景気後退終了の翌月の1991年3月でした。


イメージ 2


下のグラフは、1998年1月から2003年12月までのCABの3ヶ月移動平均の推移です。
2001年11月の景気後退(ドットコムバブル崩壊時)の終了と同時に、CABが底入れしています。
底入れの確認は、景気後退終了の二ヶ月後の2002年1月でした。

イメージ 3



下のグラフは、2002年1月から2010年12月までのCABの3ヶ月移動平均の推移です。
2009年6月の景気後退(リーマンショック時)の終了の二ヶ月前に、CABが底入れしています。
底入れの確認は、景気後退終了と同月の2009年6月でした。

イメージ 4


上のように、過去三回の米国の景気後退において、CABは、景気後退の終了に一致あるいは数か月先行して底入れする特徴を明確に示しています。

次回は、逆イールドの検知を売却の指標とし、CABの底入れの確認を買戻しの指標とした場合の、米国株の長期的な収益のシミュレーションを行ってみたいと思います。