商品循環 第106回 長期金利の平均からの乖離と商品価格

【直近の履歴】

前回は、 商品価格指数(実質)と米国の短期金利の関係を、長期平均との乖離などから分析しました。

今回は、長期金利について、長期平均との乖離の点から分析してみます。

1.米国の長期金利

1871年から2012年まで毎年、1月1日における米国の長期金利を平均すると、4.64%となります。
この平均と、各年の1月1日における米国の長期金利の差の絶対値(100倍して表示)をプロットすると以下のチャートとなります。

イメージ 1

ノイズを除いて、傾向を明瞭にするために、5年間の移動平均を取ると、以下のように、約40年の周期構造があることが分かります。

イメージ 2

2.分析

(1)長期金利の平均乖離の周期

【ボトム】
1879年→1921年→1967年→2007年
42年間→46年間→40年間・・・平均42.6年間

【ピーク】
1903年→1943年→1985年
40年間→42年間・・・平均41年間

以上のように、41~43年周期となります。

(2)長期金利の乖離のピークまたはボトムと、商品価格のピークまたはボトムの関係

1914年以降を見ると、数年の誤差はありますが、長期金利の乖離が、ピークまたはボトムを付けた時期に、商品価格がピークまたはボトムを付けています。 

△:乖離のピーク ▼:乖離のボトム
▼1921年→商品価格のピーク(1917年)
△1943年→商品価格のピーク(1947年)
▼1967年→商品価格のボトム(1972年)
△1985年→商品価格のピーク(1980年)
▼2007年→商品価格のピーク(2007年)  

イメージ 3

3.まとめ

今回の分析で、米国の長期金利の平均からの乖離が、チャートのように、40年の循環構造を持つことが、新たな発見でした。

乖離のピークまたはボトムは、商品価格のピークまたはボトムとの誤差が大きいので、予測に使うのは、難しそうですが、長期金利自体の予測には、十分に使えそうな気がします。

また、今後、長期金利が上昇して、平均(約4.6%)に接近したときは、商品価格の変動に十分に気を付けた方が良さそうです。