商品循環 第104回 商品価格指数(実質)とPPIの関係

【直近の履歴】

前回は、 商品価格指数(実質)と米国の実質株価の関係を分析しました。

今回は、商品価格指数(実質)とPPIの長期的な比較を行います。

1.PPI(生産者物価指数)

まず、以下のサイトから、 米国のPPI(生産者物価指数)の全コモディティ指数をダウンロードします。


Excelの計算式で、前年同月比を求めます。
PPIは、ボラティリティが大きいために、さらに、12ヶ月の移動平均を求めて、傾向を捉え易くします。 

以下のグラフは、PPIの前年同月比の12ヶ月移動平均を、1914年12月から2012年8月までプロットしたものです。

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 上のグラフを見て分かるように、1950年代以前は、PPIの変動が大きく、前年同月比が+20%を超えたり、-10%を下回ることも何度かありました。
これは、金本位制の通貨制度では、中央銀行金利操作によって物価を制御することが出来ないため、激しいインフレとデフレを繰り返すからです。
管理通貨制度に移行後は、以前のような激しい物価変動は、見られなくなりました。

2.商品価格指数(実質)

比較を容易にするために、PPIと同じ期間で、商品価格指数(実質)をプロットしたグラフが以下です。

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最初のPPIのグラフと比較すると、1950年代以前の商品循環のピークでは、PPIの前年同月比は、20~40%に達していましたが、 1970年代以降の商品循環のピークでは、15%を下回っていることが分かります。 

さらに、商品価格(実質)の前年比を計算して、プロットすると以下のようになります。

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最初のPPIのグラフと比較すると、1950年代以前には、PPIと商品価格の動きがほぼ、相似形であるのに対して、1970年代以降は、PPIの動きに対して、商品価格の変動幅が大きく、ほぼ、同じ幅で、上下を繰り返している事が分かります。

3.まとめ

・PPIと商品価格の関連性は、1950年代以前(金本位制)と1970年代以降(管理通貨制)で大きく異なる。

・1950年代以前は、PPIと商品価格の連動性が相対的に強く、商品循環のピークにおいて、PPIの前年同月比は、20%を大きく超えていた。

・1970年代以降は、PPIと商品価格の連動性が相対的に弱く、商品循環のピークにおいても、PPIの前年同月比は、10~15%の範囲に収まっている。 

・1970年代以降は、 商品循環のピークにおいて、 PPIと商品価格が同時期にピークアウトしている。

・以上のことから、今後も、商品循環のピークを予測する上で、PPIの変化の把握は重要な判断材料となると考えられる。