商品循環 第95回 産業金属価格指数(実質)の作成と分析

【直近の履歴】

前回は、産業金属の中から、亜鉛の実質価格の推移を調べました。
今回は、 これまでに調べた四つの産業金属(銅、アルミニウム、鉛、亜鉛)の実質価格から、産業金属価格指数を計算して、分析してみます。

1.手順

産業金属価格指数を作る手順は、以下のとおりです。

(1)個別商品の実質価格の計算・・・銅、アルミニウム、鉛、亜鉛
(2)実質価格の前年同月比の計算
(3)重み付けの決定
(4)加重前年同月比の計算
(5)産業金属価格指数の計算

2.個別商品の実質価格の計算

前回までに計算した銅、アルミニウム、鉛、亜鉛の実質価格を利用します。

3.実質価格の前年同月比の計算

上記で求めた個別商品の実質価格の前年同月比を、計算します。

4.重み付けの決定

期間毎の重み付けを以下のように設定しました。 

1850年~1875年・・・銅(100%)
1876年~1895年・・・銅(75%)、亜鉛(25%) 
1896年~1900年・・・銅(40%)、アルミニウム(40%)、亜鉛(20%)
1901年~2010年・・・銅(35%)、アルミニウム(35%)、鉛(15%)、亜鉛(15%)
 
5.産業金属価格指数の計算

 1850年の産業金属価格指数の初期値を100とします。
  1851年以降は、加重前年同月比を前年の指数に乗じた値を、当年の価格指数として、2010年まで求めていきます。

6.産業金属価格指数(実質)の推移

 上記で求めた産業金属価格指数(実質)の推移をグラフ化すると以下のとおりです。 

イメージ 1

6.産業金属価格指数(実質)のブレイクポイント

1850年・・・100.00
1856年・・・113.52でブレイク 
1864年・・・113.76でブレイクするとともに、この時期のピークを付ける   

上記のように、産業金属の実質価格は、1860年と1920年の商品循環のピークで、大きな価格上昇が見られるものの、1920年頃まで価格下落が続き、その後は、一定範囲内での値動きとなっています。

これは、産業金属が精錬に大量の電力を使用することから、水力発電などで安価な電力が調達できるようになったことが、価格に反映されたものと考えられます。

以下のチャートは、上記のデータを1920年以降に限って、プロットしたものです。

イメージ 2

ノイズは大きいですが、商品循環に沿った動きも見て取れます。

7.データ保存先 

今回、作成したデータは、SkyDriveに保存しておきました。 
ユーザーID: yada7215の公開フォルダにある、 industrial_metal_price.xls を参照してください。

次回からは、全体の商品価格指数を求める前準備として、2011年以降の直近データの反映方法を検討してみたいと思います。