商品循環 第82回 粗糖の実質価格の長期的推移

【直近の履歴】

前回は、綿花の実質価格を計算して、 長期的な分析を行いました。
今回は、同様にソフトコモディティの一つである粗糖の実質価格を求めてみたいと思います。

 1.粗糖の名目価格の推移

 USDAの以下のサイトから、1960年からの粗糖価格(名目)を取得します。

 USDA Economic Research Service Briefing Rooms / Sugar and Sweeteners / Recommended Data で Table 3a—World raw sugar price, spot, monthly, quarterly, and by calendar and fiscal year を選択→Excelワークシートをダウンロード

このデータを使って、1960年から2010年の50年間にわたる粗糖価格(名目)の推移をグラフ化すると、以下のとおりです。

イメージ 1
注)
 1)価格は、各年の平均値です。
 
【粗糖名目価格のブレイクポイント】

 1960年・・・3.14セント
 1963年・・・8.50セントでブレイク
 1973年・・・9.61セントでブレイク
 1974年・・・29.99セントでブレイク
 1980年・・・29.02セント
 2010年・・・27.03セント
  
上のように、粗糖は、1974年に過去最高値を付けました。
しかし、過去の2回の商品循環のピークのいずれにおいても、ピークを形成したものの、過去最高値を更新していません。

2.粗糖の実質価格の推移

  次に、いつものサイトのCPIを使って、粗糖の実質価格を計算してみます。

Historical Value of U.S. Dollars

イメージ 2

注)
 1)1967年を1セントとして計算されています。
2)データの範囲は、1960年から2010年です。

  上のように、現在の綿花の実質価格は、1974年の4分の1弱です。

 【粗糖実質価格のブレイクポイント】

1960年・・・3.55セント
1963年・・・9.26セントでブレイク
1974年・・・20.40セントでブレイク 
1980年・・・11.90セント 
2010年・・・4.05セント 

3.粗糖価格と商品循環の関係

  上のデータから、それぞれの商品循環のピークで、粗糖価格が過去最高値を更新したかどうかを、調べると以下の通りです。

商品循環のピーク・・・過去最高値の更新有無(更新有り:〇、更新無し:×)
【名目価格】
1917年~1920年・・・×
1947年~1950年・・・×
1980年~1983年・・・× 
2008年~現在・・・× 

【実質価格】
1917年~1920年・・・× 
1947年~1950年・・・×
1980年~1983年・・・×
2008年~現在・・・×

【結論】
 粗糖が、商品循環のピークにおいて、過去最高値を更新する確率は、名目価格ベース、実質価格ベースともに0%である。

4.1960年以前の推計

上記のデータは、年平均価格ですが、1840年からの月平均価格をプロットしたチャートが以下のようになります。(詳細データは無し)

イメージ 3
上のように、1920年の商品循環のピークには、名目価格が約20セントまで上昇して、過去最高値を更新しています。
 1920年と1974年の実質価格の推計値を求めると、以下のようになり、実質価格でも、過去最高値を更新していた可能性が高いと考えられます。

●1920年
20セント/ポンド × 1.67 = 33.4セント/ポンド

●1974年
56セント/ポンド × 0.68 = 38.04セント/ポンド 

5.データ保存先

  今回、作成した粗糖価格(名目と実質)のデータは、SkyDriveに保存しておきました。

 ユーザーID: yada7215の公開フォルダにある、sugar_prices.xlsxを参照してください。

  次回は、コーヒーの実質価格の長期的推移を分析したいと思います。