商品循環 第80回 穀物価格指数(実質)の作成と分析

【直近の履歴】
第79回 コメの実質価格の長期的推移

第78回 小麦の実質価格の長期的推移
第77回 大豆の実質価格の長期的推移

前回は、コメの103年間にわたる実質価格の推移を求めて、分析しました。

今回は、これまでに調べたトウモロコシ、大豆、小麦、コメの実質価格を、総合して、穀物価格指数を作り、分析してみます。

1.手順

穀物価格指数を作る手順は、以下のとおりです。

(1)個別商品の実質価格の計算
(2)実質価格の前年同月比の計算
(3)重み付けの決定
(4)加重前年同月比の計算
(5)穀物価格指数の計算

2.個別商品の実質価格の計算

前回までに計算したトウモロコシ、大豆、小麦、コメの実質価格を利用します。

3.実質価格の前年同月比の計算

上記で求めた個別商品の実質価格の前年同月比を、計算します。

4.重み付けの決定

各商品の重要度に基づいて、各年毎の重み付けを以下のように、決定しました。

1867年~1908年・・・トウモロコシ(100%)
1909年~1913年・・・トウモロコシ(90%)、小麦(5%)、コメ(5%)
1914年~1919年・・・トウモロコシ(80%)、大豆(5%)、小麦(10%)、コメ(5%)
1920年~1929年・・・トウモロコシ(70%)、大豆(10%)、小麦(15%)、コメ(5%)
1930年~1939年・・・トウモロコシ(55%)、大豆(20%)、小麦(20%)、コメ(5%)
1940年~2010年・・・トウモロコシ(40%)、大豆(30%)、小麦(25%)、コメ(5%)

5.加重前年同月比の計算

上の重み付けを、各商品の実質価格の前年同月比に乗じ、その値を、年単位に集計して、加重前年同月比を計算します。

6.穀物価格指数の計算

1866年の穀物価格指数の初期値を100とします。
1867年以降は、上記の加重前年同月比を前年の穀物価格指数乗じた値を、当年の穀物価格指数として、2010年まで求めていきます。

7.穀物価格指数(実質)の推移

上記で求めた穀物価格指数(実質)の推移をグラフ化すると以下のとおりです。

イメージ 1

上のチャートのように、商品循環のピークと同期して、過去3回の大きなピークが観察されます。
現時点では、まだ、ピークの兆しは見えず、過去最大値と比較すると、半分以下に低迷していることが分かります。

8.穀物価格指数(実質)のブレイクポイント

穀物価格指数(実質)のブレイクポイントは、以下のとおりです。

1866年・・・100.00
1867年・・・124.63
1868年・・・103.43
1869年・・・121.53
・・・
1874年・・・126.36でブレイク
1881年・・・145.27でブレイク
1901年・・・160.92でブレイク
1908年・・・161.26でブレイク
・・・
1916年・・・227.77でブレイク
1917年・・・250.93でこの時期のピークを付ける
・・・
1947年・・・253.05でブレイクするとともに、この時期のピークを付ける
・・・
2010年・・・88.26

9.商品循環との関連分析


商品循環のピーク・・・過去最高値の更新有無(更新有り:〇、更新無し:×)
1917年~1920年・・・〇
1947年~1950年・・・〇
1980年~1981年・・・×
2008年~現在・・・×

10.データ保存先

今回、作成した穀物価格指数(実質)のデータは、SkyDriveに保存しておきました。

ユーザーID: yada7215の公開フォルダにある、 grain_index.xls を参照してください。

次回からは、綿花などのソフトコモデティの実質価格の推移を分析してみたいと思っています。