商品循環 第75回 エネルギー価格指数(実質)の作成と分析

【直近の履歴】
第74回 ウランの実質価格の長期的推移
第73回 石炭の実質価格の長期的推移
第72回 天然ガスの実質価格の長期的推移

前回は、1981年から2010年までの約30年間にわたるウランの実質価格を計算して、その長期的推移を分析しました。

今回は、これまでに調べた原油天然ガス、石炭、ウランの実質価格を、総合して、エネルギー価格指数を作り、分析してみます。

1.手順

エネルギー価格指数を作る手順は、以下のとおりです。

(1)個別商品の実質価格の計算
(2)実質価格の前年同月比の計算
(3)重み付けの決定
(4)加重前年同月比の計算
(5)エネルギー価格指数の計算

2.個別商品の実質価格の計算

前回までに計算した原油天然ガス、石炭、ウランの実質価格を利用します。

3.実質価格の前年同月比の計算

上記で求めた個別商品の実質価格の前年同月比を、計算します。

4.重み付けの決定

各商品の重要度に基づいて、各年毎の重み付けを以下のように、決定しました。

1860年~1929年・・・原油(100%)
1930年~1949年・・・原油(95%)、天然ガス(5%)
1950年~1979年・・・原油(90%)、天然ガス(5%)、石炭(5%)
1980年~2000年・・・原油(80%)、天然ガス(10%)、石炭(5%)、ウラン(5%)
2001年~2010年・・・原油(75%)、天然ガス(15%)、石炭(5%)、ウラン(5%)

5.加重前年同月比の計算

上の重み付けを、各商品の実質価格の前年同月比に乗じ、その値を、年単位に集計して、加重前年同月比を計算します。

6.エネルギー価格指数の計算

1901年のエネルギー価格指数の初期値を100とします。
1902年以降は、上記の加重前年同月比を前年のエネルギー価格指数乗じた値を、当年のエネルギー価格指数として、2010年まで求めていきます。

7.エネルギー価格指数(実質)の推移

上記で求めたエネルギー価格指数(実質)の推移をグラフ化すると以下のとおりです。

イメージ 1

上記のように、1920年、1981年、2008年に、エネルギー価格指数のピークが観測されています。

8.エネルギー価格指数(実質)のブレイクポイント

エネルギー価格指数(実質)のブレイクポイントは、以下のとおりです。

1901年・・・100.00
・・・
1917年・・・105.62でブレイク
1920年・・・133.51でピークアウト
・・・
1975年・・・158.87でブレイク
1981年・・・290.09でピークアウト
・・・
2008年・・・396.51でブレイクするとともに、直近のピークを付ける

9.商品循環との関連分析

エネルギー価格全体で見ると、原油のウェイトが高いために、以下のように、原油と同様の傾向が見られます。

商品循環のピーク・・・過去最高値の更新有無(更新有り:〇、更新無し:×)
1917年~1920年・・・〇
1947年~1950年・・・×
1980年~1981年・・・〇
2008年~現在・・・〇


10.データ保存先

今回、作成したエネルギー価格指数(実質)のデータは、SkyDriveに保存しておきました。

ユーザーID: yada7215の公開フォルダにある、 energy_index.xls を参照してください。

次回からは、農産物の実質価格の推移を分析してみたいと思っています。