中東で深刻化するガス不足

中東の油田では、油田の圧力低下を補うために、人為的に海水や天然ガスを油田に注入して、原油を噴出させています。その天然ガスの不足が大きな問題となってきました。


ペルシャ湾岸の各国では、老朽化した油田の延命の為に注入するガスの不足に直面しています。

・また、この問題は急速に深刻化しています。

・UAEでは、生産量を維持するために、昨年、一日当たり17億立方フィートのガスを油田に注入しました。

・FACTSグローバル・エネルギーのFereidun Fesharaki会長によると、次の10年間に、この注入ガス量は、毎年、8%の増加が必要になってくるとのことです。

・2020年までには、一日当たり42億立方フィートの注入ガスが必要になります。これは、同国の現時点での陸上油田のガス生産量に匹敵します。

・もし、アブダビが、同国の沖合いガス田を、未だ、アジアの消費国に液化ガスとして長期契約で売っていなければ、深刻ではないと考えられます。

・しかし、Fesharaki氏は、UAEは、サウジやオマーン、クウェイトと伴に、既にガス不足であると述べています。もし、全てのガスを原油生産に使えば、発電や工業に回す分がなくなるだろうと述べています。

・サウジは、一日当たり30億立方フィートのガスを注入していますが、FACTSによると、この量は、2015年までに現在の三倍必要になります。

・イランは、その粘度の高い石油を抽出するために、最大規模のガス注入を行っています。昨年、生産を開始したAghajari油田には、一日当たり36億立方フィートのガスを注入しています。

・イランは、世界第二位のガスの埋蔵量を持っていますが、専門家によると、現在のガス田の開発計画では、注入ガスに必要な量が得られないと言われています。

・中東では、天然ガスの代わりに、窒素や二酸化炭素を用いる計画も有りますが、これらは、天然ガスよりも高価です。

・メキシコでは、カンタレラ油田の再生のために、窒素ガス注入に切り替えて、成功しました。しかし、2006年以降、急速な減退に陥っています。

・サウジでは、2013年から二酸化炭素をガワール油田に注入する計画です。