始まった金融政策の「出口戦略」への模索-中国

関志雄さんが、中国の出口戦略について、論文を公開しています。


・今年の第4四半期の成長率は9%台になり、通年では中国政府が目指している8%と言う目標が達成できる可能性は極めて高い。

・来年、世界経済の成長率がマイナスからプラスに転じると予想されることを合わせて考えれば、中国の成長率は今年を上回る9%に達するだろう。

・消費者物価(CPI)の上昇率が4%を超えることは、(出口戦略に移る)一つの目安となる。現在のインフレ率がまだマイナスの水準にとどまっていることに加え、インフレは成長率より約3四半期遅れて動くことから判断して、その時期は早くとも来年の後半になるだろう。

・景気回復とともに、インフレの上昇が予想され、世界的金融危機が収まれば、2007年頃のように、当局は再びインフレを抑えるために人民元の対ドル上昇を容認せざるを得ないであろう。

・現在の上海市場のA株PERは25倍前後と、バブルの絶頂期であった2007年10月の70倍超を大きく下回っている。中国は新興国であり成長性が先進国と比べて遥かに高いことを合わせて考えれば、現在の株価水準は企業収益の割には決して高いとは言えない。

・バブルの絶頂期にA株のH株に対する相対価格を示すAHプレミアム指数は一時200%を超えたが、現在120%まで縮小しており、A株の割高感は大幅に解消されている。

・2009年の成長率が9%程度に達し、本格的引締め策は来年後半まで実施されないというわれわれの予想を前提にすれば、低金利、低インフレ、景気回復という株価上昇に有利な環境は当面続くだろう。

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かなり、強気の見方ですが、3Qまでの株価と成長率、インフレ率の実績を踏まえると、十分に実現可能な予測かもしれません。
中国の場合、インフレが成長率に3Q遅行するというのは、記憶すべき重要な情報だと思います。