ロシアの原油生産 2010年迄にピークに達する模様

EIAの統計によると、ロシアの原油生産量が日量925万バレル(2006年平均)となり、サウジアラビアの日量915万バレルを凌ぐ、世界第一位の原油生産国になりました。原油輸出量では、日量509万バレル(2004年平均)で、ロシアはサウジアラビアに次いで世界第二位です。
この十年間で、ロシアは原油生産量を二倍近くに伸ばしてきましたが、2005年以降は伸び率が2%台と急速に落ちています。

年  日量(キロバレル)増加率
1998 5,854
1999 6,079 3.84%
2000 6,479 6.58%
2001 6,917 6.76%
2002 7,408 7.10%
2003 8,132 9.77%
2004 8,805 8.27%
2005 9,043 2.71%
2006 9,247 2.26%

ロシアの原油生産量の伸びが落ちている原因は、主力の西シベリア油田の生産量がピークに達しつつあるからです。
ロシア産業エネルギー省が2003年に発表した「2020年までのロシアのエネルギー戦略」では、西シベリア油田からの原油生産量が2010年にピークに達します。その後は、西シベリア油田の減少分を、東シベリアやサハリンなどの極東の油田が補って、2010年以降もロシア全体の原油生産量が維持される計画になっていますが、東シベリア油田の開発の遅れによって、この計画の達成が危ぶまれています。

現在、東シベリア油田の開発は、初期段階の資源探査や商業埋蔵量の確認が完了していないために、そもそも、本当に採算ベースに乗る油田なのかどうかも不明です。もし、十分な埋蔵量が確認されたとしても、冬場に零下30-40度となる東シベリアでの採掘が技術的に可能かどうか、さらに、採掘が可能だとしても、原油の掘削と原油輸送用パイプラインの敷設に必要な総額1000億ドル以上の投資資金をどう確保するかなど、非常に困難な問題が山積しています。

報道によっても、東シベリア油田開発の遅延状況が伝えられています。

==引用開始==
東シベリア原油日本向けルート、着工3―4年延期…ロシア
【モスクワ=瀬口利一】インターファクス通信によると、日本と中国が優先着工をめぐり競合するロシア・東シベリア産原油のパイプライン建設計画で、露天然資源省当局者は10日、日本向けルートの着工が、油田開発の遅れから、3、4年延期されるとの見通しを明らかにした。

サンクトペテルブルクで記者団に語った。

当初計画では、2012年に年間8000万トンの輸送能力をもつパイプラインを完成させる予定だったが、現在の可採埋蔵量では、3000万トンしか確保できないという。露経済発展貿易省高官は、油田開発のため1000億ドル以上の投資が必要で、輸送開始は25年ごろまでずれ込むとの見通しを示している。

同パイプラインは、イルクーツク州タイシェト―スコボロジノ区間約2700キロが08年後半に稼働予定。その後、日本海沿岸まで延ばす「太平洋ルート」と中国・大慶に向かう支線「中国ルート」の第2段階を計画している。中国ルートは、中国石油天然ガス集団(CNPC)が露側の建設主体トランスネフチ社と着工に向けた準備を進めている。

(2007年4月11日14時15分 読売新聞)
==引用終了==

東シベリアの石油生産が無いか非常に少ない場合、ロシアの原油生産が2010年にピークに達します。同じくサウジアラビアの増産も計画どおりに進んでいないことから、2010年には世界的に原油供給の不安が顕在化するものと考えられます。私は原油相場が2010年に向けて高騰する確率が非常に高いと考えています。